第8回整形外科リハビリテーション研究会内容報告
1992年5月9目(土)松本義肢製作所会議室にて

1.木村病院 PT 神山先生より手関節及び指関節に関して、用語説明、機能解剖などについて資料にて説明を受ける。手関節はPTにとっては敬遠しがちな分野でもあり、不慣れな関節ではあるがOT不在の施設も多いと思われるため、積極的に取り組んで行かなければならないと痛感させられた。また、拘縮を考えるうえで、拘縮手の評価は他の関節への応用が十分に展開され、今後の治療において活用出来る部分が多々あると思われる。積極的な取り組みに期待するものである。

2.国立津病院 PT 岸田先生よりバイク事故による右肩甲骨骨折、右鎖骨骨折、右肋骨骨折、右骨盤骨折の患者についての提示があった。神経麻痺の鑑別診断についての間題提示であった。受傷2W時点のMMTは、三角筋、棘上・棘下筋、小円筋、上腕三頭筋が0、C5〜7にhypesthesia(肩外側に強い)、quadri−lateral spaceと頚部の圧痛があった。萎縮はなかった。受傷後10週時点でのMMTは、三角筋、棘上・棘下筋、小円筋、上腕三頭筋が1、C5〜7にhypesthesia(肩外側に強い)、quadri−lateral spaceと頚部の圧痛は消失。萎縮はdeltoid、tricepsにあった。間題は引き抜き損傷かどうかの鑑別が重要である。髄節レベルでは筋力が合わないため、引き抜き損傷とは考えにくい。末梢性でも一元的には考えにくく、結諭として棘上・棘下筋から肩甲上神経麻痺、三角筋・上腕三頭筋・肩外側の知覚低下・quadri−lateral spaceの圧痛からquadri−lateral space syndromeの2カ所でのentrapment meuropathyと結諭付けられた。quadri−lateral spaceの詳しい解剖については、各自確認しておくと良いであろう。

1.国立津病院 PT 川村先生よりプレスの作業中に鉄板に手を挟まれた患者についての呈示があった。受傷4日目であり、今後のリハについて具体的にどうしたら良いかということを検討した。医師の方針としては、開放療法をするとのことだった。floorで手の挫滅の症例を経験したものが殆どいなかったため、ディスカッションは出来なかったが、治療の方向性だけは明示された。受傷2週間ほどは炎症の活動期であり、滲出・腫脹の時期であるため、elevation、compressionを最優先にする時期である。この腫脹を我々は最重要視するべきである。この時期を誤ると、拘縮を作ってしまうことになるため、適切な処置が望まれる。その後は、積極的なROM訓練の時期である。この時期はgranurationが入って来る時期であり、拘縮の主原因となるものである。そのため確実なROM訓練により、cross−linkingの防止が最重要の時期である。一般的なROMではなく、完全屈曲、完全伸展を確実にしていく。開放療法なので、同時にsplintを作成して、積極的にROM訓練をしていく。その後、皮膚が安定するまで前述の後療法を確実に行っていく。腱、筋、靭帯、骨には損傷がないため、確実にnormalを目指して行う。この結果については後日報告を期待するものである。どの症例にも共通することであるが、炎症の一連の流れについてはもう一度確認しておく必要があると思われる。

4.碧南市民病院 PT 浅野先生より、右上肢の広範な挫滅創の恵者についての提示があった。作業用ローラーに巻き込まれ約20分間圧迫された。緊急ope(洗浄デブリードメント、血管縫合、一次創閉鎖)施行。3週後にfree skingraft(全層)施行。10目後にリハ開姶。MMTでは、虫様筋、総指伸筋、背側骨間筋、長・短母指伸筋、尺側手根伸筋が0、浅・深指屈筋、掌側骨間筋、長・短母指屈筋が2、尺側手根屈筋、橈側手根伸筋、橈側手根屈筋が3、手関節背屈・掌屈、前腕回内・回外が3+肘屈曲・伸展が4ーであった。感覚については、次ぺ一ジのごとくであった。ROMについては、肘屈曲120゜、肘伸展-60゜、回内40゜、回外20゜、掌屈35゜、背屈20゜、指については、第4指がPIP関節屈曲90゜、DIP関節30゜で、その他はpassiveにて完全屈曲可能であった。以上のことより、考えられるのが尺骨神経麻痺、橈骨神経麻痺が考えられた。これを確かなものにするために、回外筋の筋力が重要になってくるため、このような症例の場合はしっかりと検査をするように気を付ける。このような症例では、再建術が行われると予想されるため、各関節をsupple jointにしておくことが重要である。さらに、筋の萎縮を極力避けるために低周波による刺激も重要になって来る。intrinsicに対してはGuyon管での刺激が有効である。しかし、このような挫滅創のある場合は、適応が困難になってくるため、慎重に対処する必要がある。また初期固定についてであるが、本症例は肘関節90゜屈曲位、回内・外中間位であったが、本症例のような場合は機能的予後を考えればこれがbettreであったと考える。今後は我々もgyps固定肢位についてしっかりとした見解をもって対処し、Drと綿密に情報交換をして予後をしっかりと考えた固定及び固定期間を決定するようにして行きたい。今回は特にPTとしては敬遠しがちなHand therapyということで、症例も少なく、経験自体が殆ど無いということが間題であった。handはOTに任せると言った風潮があるように思われるが、OT、PTにかかわらず、どんな症例についても積極的に治療をしていくように頑張りたい。今回は8回目にして初めてOTの参加があった。OTについても、上肢中心であるとか、hand therapyだけということを考えないで、積極的に四肢を対象に治療をすべきであろうし、PT、OTが競い合って行けるようにして行きたいものである。今後も、PT、にかかわらず、様々な職種が集まって検討して行けると良いと思われる。今後に期待するものである。