第10回整形外科リハビリテーション研究会内容報告
1992年7月18日(土) 於 松本義肢製作所5階会議室

1.平成医療専門学院 理学療法士 林先生より、手根骨運動メカニズムにおける2大理論であるcolumn theoryとRing theoryについての説明が行われた。両理論とも1970年代後半から1980年代前半に報告されたものであり、我々理学療法士にとっては認識不足の内容とも考えられる。手関節障害を考える上では、大切な理諭付けとなるため、ぜひ会員各位理解を深めておいて頂きたい。

2.国立津病院 理学療法士 岸田先生より、今回のテーマである膝についてのlectureが配布資料をもとに行われた。膝についての研究は数多く、様々な見解が報告されている。ぜひ、資料に目を通していただくととも不足分については他文献も参照されることを希望する。

3.平野総合病院 理学療法士 小野先生より、大腿骨頸部外側骨折後骨接合(CHS)をした症例が呈示された。本症例の間題点は術後約3W近く経過しているにもかかわらず、膝の屈曲可動域が70゜程度、疼痛も顕著であることであった。可動域制限を呈している原因を一つ一つ探っていく必要があるが、まず注目するところとしてITTのgliding障害、およぴadheasionが考えられるため、TFLへの集中した筋収縮を引き出すこと、positionを考慮したisometric contraction刺激など、TFLの機能を考えた対応が望まれる。今後の経過をまた報告して頂きたい。

4.名市大病院 理学療法士 石田先生より、先天性多発性拘縮の症例呈示があった。本症の詳しい病理などはさておき、歩行を獲得させるための装具の考え方、また、運動療法の考え方についての間題呈示があった。現在両hip joint extension−5゜knee joint flex70゜extension0゜でpatellaの欠損、calcaneus eversionが変形として認められる。また装具は前方制動10゜、後方制動15゜のものを使用している。フロアーからは現在のbrace rangeに設定した事に対する疑間、特にquadricepsの筋力が無い現状での角度設定、SLBではたして良いのかなど、処方目的の不明確さが指摘された。むしろ足部を固定してアライメントの是正を計ることが先決なのでは?と考えられた。
運動療法としてはhip、trunkに対する根気強いアプローチが必要との意見が出された。今後の結果報告を期待させるものである。

5.国立津病院 岸田先生より両側TKR後の優秀な可動域を獲得し得た症例の紹介があった。RAにてMGUを使用、両側105゜以上の可動域を有し、extension lag(−)、gait時のstabilityも良好との報告であった。術前可動域が良好でしかもRA症例は術後可動域が良好との報告もあり、OA症例での検討、術前可動域、activityとの関連も今後検討していただきたい。

6.平成医療専門学院 理学療法士 林先生より両側大腿骨頸部内側骨折(左側は偽関節疑い)約半年臥床後の年齢90才の症例が呈示された。この様な一見sevearな患者の歩行獲得はどの様に考えてアプローチしていくかが間題呈示された。手術はpinning一本にて行われており手術強度としては高いものではない。最終的には整形外科医と綿密なdiscussionを行い、いちかばちか疼痛のない範囲から徐々に荷重し、disuse factorを取り除くことが大切なのではないかとの意見が出された。どうしても高齢者で骨癒合していない不安があるとアプローチが消極的になりがちだが、逆に高齢者だからこそdisuse factorのrecoverが思った以上にactivityを高めることにつながることもあり、やはりcase by caseで愚者を診ることが重要と考えられた。