第12回整形外科リハビリテーション研究会報告
1992年10月24日(土)松本義肢製作所5F会議室

碧南市民病院、理学療法士、浅野先生よりTossyV型肩鎖関節脱臼症例の報告が行われた。再建術の一つであるDewar法(上腕二頭筋短頭、烏口腕筋をつけたまま烏口突起を鎮骨へ移行するダイナミツクなre−construction)後の術後成績について報告していただいた。ROM、筋力と順調な回復を示し、非常に優秀な成績であったが、術後早期にK−wireが遊走し抜去しなくてはならなくなったことに対し、手術手技の間題は多少あるとしても、術後早期のA−C jt micro movementを防止しながらの運動療法についてはたして適切であったのかどうか?という指摘があった。再建術とはいえ新鮮例に行われた手術については、A−C、C−C ligがgranulationにより伝達機能を少なからず有する可能性があり、shoulder girdle全体の調和を考えれば、術後早期の運動療法は慎重かつ、理論的に再検討すべきと考えられた。

 平野総合病院、理学療法士、原田先生より外傷性肩関節脱臼、rotator cuff損傷術後の症例が呈示きれた。本症例は、術後再断裂を示唆される運動機能であり、治療における難渋度は非常に高い症例といえる。意見としてdeltoidに対する筋力増強との意見も出されたが、腱板機能が消失した状態では筋カトレーニングも一考を加える必要があり、arthrographyをまずいらいしてみては?との意見がだされた。また、腱板機能の存否は別間題で、まず拘縮があること自体が間題であって、拘縮の原因を一つずつ解剖・運動学的に評価・治療し可動性を回復してから次の運動療法を再考すべきとの意見がだされた。今後の経過を報告して頂きたい。

 岐阜リハビリテーション病院、理学療法士、五島先生より91歳女性の上腕骨外科頸骨折における報告が行われた。一般に高齢者における上腕骨近位端骨折の成績は必ずしも良好とは言えず、今回の報告はある意味で適切な理学療法が行われれば十分実用的な機能を獲得できる可能性を示唆した症例であったと思われた。activeでの挙上は健側比−5度であったがpassiveでは左右差を認めず、大変優秀な成績と言える。受傷後早期のCoddman exでは、特に外旋運動を防止してのgleno−humeral jt固有の可動域を維持しておくことは成績を左右する第一要因と考えられる。今回は実技も含めた報告が行われ、会員諸氏確実な理解をして頂きたい。

 市立四日市病院、理学療法士、工藤先生より、大腿骨骨折および脛骨近位端骨折の症例が呈示きれた。現在のROMは15度から65度、extension lag−30度と重篤な膝関節障書を呈していた。間題呈示としてはいかにROMを改善するかということであり、patellaの動きを制御するsoft tissueの機能解剖の理解のもと諸組織の癒着剥離が第一選択であろうとの意見が出きれた。また、extension lagの発生原因も張力伝達の障書と考えるならば、同様にretinaculumを中心としたextensor mechanismの癒着剥離を大腿四頭筋の収縮を利用して治療してみては?との意見も出きれた。拘縮の程度はかなり強いものではあるが、拘縮の原因を適切に診断し、各角度にあける制限因子に対し確実にアプローチすることで対処していただきたい。今後の経過報告をぜひ期待するものである。

(報告者平成医療専門学院林典雄)