第13回整形外科リハビリテーション研究会報告
1992年11月28目(土)松本義肢製作所5階会議室

国立名古屋病院 理学療法士 中川先生より「肘関節における側副靭帯機構」についてのレクチャーが行われた。解剖学的な線維分類に始まり、各線維が角度により緊張がどのように変化するのかを、機能学的な見地からわかりやすく説明して頂いた。やはり注目すべきは内側側副靭帯が肘関節におよぼす影響である。特に後斜走線維は、肘関節伸展位から屈曲位に至るまでに、2借以上もの長さを変化させる一種の矢状面における運動のコントローラー、またはstabilizerであること、また前斜走線維はどの角度においても長さが変化せず、前額面におけるstabilizerであることが示唆された。レクチャー後のディスカッションとして、骨頭骨折後の後斜走線維の問題、尺骨神経麻痺の問題などに靭帯がいかに影響を及ぼし得るのか、活発な意見交換が行われた。(文責:林)

 国立津病院 理学療法士 岸田先生より左肘頭骨折と左上腕骨外科頸骨折の合併例が報告された。肘頭骨折に対してはツーク(zuggurtungs osteosynthesis)が施行され、外科頸骨折にはhanging castで対応されていたが、外科頸骨折に転位が生じ、kirschner wireで固定された症例である。肘は2週間の固定がされ、6週現在0−20゜−120゜の可動域である。肘屈曲時骨折部周辺に疹痛があり、MCL posterior fiberにつっぱり感がある。この症状に対し、MCL posterior fiberの短縮を指摘されたが、125゜まで屈曲して来ており、それ以上に肘関節周囲のedemaの問題を重視すべきとの意見が出た。bandageによる圧迫を除去した後に尺骨神経麻痺の症状が出現したことも合わせて、edemaへの対応を継続すべきと考えられた。肘伸展、肩に関しては外科頸骨折の治癒に合わせてprogrumを進めるようにしたい。(文責:あさの)

 名古屋市立病院 理学療法士 石田先生より左膝半月板損傷と有痛性分裂膝蓋骨の症例が報告された。手術として、半月板縫合術及び膝蓋骨の骨片除去術を施行した。8週間を過ぎて膝のROMはfreeとなり、ADLも障害はない状態となっている。しかし、筋のstrengthとvolumが不足しており、スポーツ復帰にも障害となっているようであった。これについてはいわゆる術後の固定による廃用性のものではなく、長い時間をかけて徐々に起こって来たものであろうとの意見が出された。半月板損傷により起こったという意見と、有痛性分裂膝蓋骨により起こったという意見とが合ったが、正確には不明である。本症例は34才であるが、高校のときに柔道にて膝の疹痛が出現し、その後4−5年前よりマラソンにて症状が強く出現するようになったとのことで、少なくとも4−5年前から徐々に起こっていとものと推測される。そのため改善にも時間がかかるであろうとの意見で合った。現在行われているトレーニングについては間題はないと思われた。atrophyをいかに早く改善させるかが筋力トレーニングにおいては重要であり、困難でもある。今後の大きな課題である。(文責:岸田)

 平野総合病院 理学療法士 小野先生より第11回本研究会で検討された、大腿骨骨幹部骨折の症例についてその後の治療経過が報告された。前回の症例提示の段階では、術後4週の段階でextension lag 30゜、屈曲80゜と著名な機能障害を有していた。対策として、浮腫に対する徹底治療を行うこと、訓練時間をもっと長くすること、いかに筋収縮を誘発しsuprapatellar pouchとvastus intermediusとの癒着を防止するかが意見として出され、その治療として弾力包帯を大腿部に巻き付け、compressionによる浮腫の軽減を計りつつ、FMS、isometric contractionを併用してのtrainingへ変更したとのことであった。その後、浮腫が軽減すると共に膝ROMとextension lagとも改善し、特に他動伸張を加える事なく正座を獲得した。外傷後の浮腫に対する治療の大切さを改めて認識させられた報告であった。(文責:林)

 碧南市民病院 理学療法士 浅野先生より肩関節外傷性脱臼及び大結節骨折の受傷後絢4週の症例が呈示された。間題点としては、今後の理学療法の進め方、考え方についての意見を求められた。意見としては大結節にストレスを加えないでしかもG−H jointの可動性を維持することとして約6週間程度まではpassive中心のcoddman exを中心に進めること、また前下方脱臼によるG−H 1igの断裂が疑われるため、外旋運動をあまりあせらず進めること、同時に脱臼後の肩甲下筋の考え方、アプローチについて注意すべきとの意見が出された。受傷後4週という時期でもあり、いかにG−H jointのROMを維持出来るかで、本症例の肩関節機能は決まるとも考えらる。今後の経過報告を期待するものである。(文責:林)