第19回整形外科リハビリテーション研究会報告
1993年6月19目(上)ライオンビル7階萬有製薬会議室

木村病院 理学療法士 神山先生より肘関節の骨の形態についての1ectureがあった。上腕骨関節面が45゜前下方に、尺骨関節面が前上方にむいており、それにより骨性にはO゜〜180゜の可動性をもっている。フロアーより過伸展を呈する症例の存在理由についての質間があり、その理由としては、fossaの壁が欠損しており、肘頭が大きく入り込むことが出来るためであろうとのことであった。またCarrying ang1eについて、4つの要素について説明と、骨間膜の走行と役割についての説明があった。それぞれが基本的な事であり、軽視しがちであるためこの機会にもう一度確認しておきたい。(文責:国立津病院 岸田)

 国立津病院 理学療法士 岸田先生より肘部管症侯群によりking法を施行した症例が紹介された。この症例については、後療法よりも解剖と鑑別診断が中心となった。解剖については、肘部管の靭帯(osborne 1igament)、fibrous bandの位置について説明があり、king法についての説明も行われた。これについては、emtrapment neuropathyであり、神経の剥離をすることが中心となる。意見が別れる所ではあるが、神経は1日に数百回脱臼しており、かえって脱臼しないことが原因であるという説についても説明があった。更に、同じentrapment neuropathyである後骨間神経麻痺、前骨間神経麻痺についての説明も行われた。鑑別については、この症例の場合はguyon管症侯群と頚椎症を疑うが、頚椎についてはX−pにて間題がなく除外されたが、guyon管については、尺側手根屈筋のatrophyの有無がポイントになった。今回の症例では検査しておらず、結論は出なかったが、尺骨神経の尺側手根屈筋の運動枝は肘部管のosborne 1igamentを通過してから別れるため、鑑別診断に重要な要素となる。神経疾恵においては鑑別診断が重要とな香ため、神経の運動枝、感覚校がどのポイントで枝別れするのか等の細かな知識を確実にしてゆくことが重要であることを再認識した。(文責:木村病院 神山)

 菰野更生病院 理学療法士 丸山先生より右肘頭骨折の症例が呈示された。平成5年4月12目に受傷、4月15目にtensionband wiringを施行し、2週間gyps固定(肘中間位)後の4月30日よりリハを開始した。当初、回内外は間題なかったが、屈曲85゜、伸展−40゜と制限が見られた。edemaによる制限が大きいと考え、弾性包帯を巻いての三頭筋のisometric−ex、pu11eyでの肘の屈伸を行ってきた。6月17目(8週間)現在、屈曲140゜、伸展一20゜となったが依然edemaが残存するとのことで、edemaの対策と伸展制限について間題提起がなされた。フロアーからの意見として、@edemaに対しては、前腕、手関節にROM制限がないことを考えると、肘関節を中心にもう一度見直す必要があるのではないか。Apu11ey等での訓練を進めているが、狙っている筋が効率良く働いているかどうかを考えると、肩、肘、前腕等の肢位の工夫がもう少しされても良いのではないか。更に運動域がしっかりと確保されているか。B訓練以外の時間を有効に利用して、重りを持たせての持続伸張を行う等の意見が出された。全体として、edemaに対して肘関節中心に再評価してみること、pu11ey使用時の肢位、運動域の工夫と確認、あき時間の利用等を再度見直すことがあげられた。今後の成績発表を期待するものである。(文責:国立名古屋病院 中川)

 菰野更生病院 理学療法士 丸山先生より90才女性の上腕骨頚骨折の症例が呈示された。5月初旬に受傷し、麻酔下で整復したがさほど整復出来ないままに三角布固定。軽度の痴呆があり、夜間徘徊もみられた。安静のみの治療で、6月21目よりリハを開姶するとのことで、今後の具体的な方法と、目標について話し合われた。経験のある先生からの意見としては、年令と、状態からみて肩関節については機能的なものは期待出来ないという意見であった。偽関節でも痛みの無い範囲で、洗髪等のADLがある程度出釆れば良いとのことであった。そのためには、現在残されている肘関節、手関節の機能を確実に維持し、使えるようにすることが重要なポイントになってくる為、確実なROMの訓練、評価をしてゆくようにとの意見が出された。ADLをいかにして保持して行けるかが間題となる症例であった。(文責:国立津病院 岸田)