会員各位
整形外科リハビリテーション研究会
第21回整形外科リハビリテーション研究会報告

国立津病院 理学療法士 岸田先生より股関節疾患に対する手術での皮切・進入路についての1ectureがなされた。THAなどで用いられる股関節後方進入法(Moor法)と、股関節前方進入法、CHS等で用いられる大腿外側進入法が説明された。PTにとって、進入法は軽視されがちであるが、術後の関節可動域に大きく関与して来ることを認識させられた。今回呈示された進入法のみでなく、総ての手術に対して軟都組織の関与を考えた治療が展開出来るように注意していきたい。また大腿骨頚都骨折に対する手術法別の強度の比較を文献にて紹介された。使用する固定材にて差がある事が分かった。それぞれの特徴を知識として得ておくのも重要なことと思われた(文責:国立津病院 岸田)

 碧南市民病院 理学療法士 浅野先生より転移性骨悪性腫瘍で右大腿骨転子都骨折にてKotz下肢再建システム(大腿骨近位部置換)を施行した症例が呈示された。非常に珍しく経験のある先生がいなかったため間題呈示に対する回答は得られなかった。文献的に調べて、そのプロトコールにある程度従って行くしかないと思われた。この症例については今後の経過報告に期待したい。(文責:国立津病院 岸田)

 碧甫市民病院 理学療法士 浅野先生より右大腿骨・下腿骨開放骨折、左下腿骨骨折でコンパートメント症侯群を合併し、右下腿皮膚壊死を起こした症例の呈示がなされた。緊急手術を施行し、右大腿骨および下腿骨骨折に対してプレート固定し、下腿外側に滅張切開施行、左脛骨に対してはギプス固定とした。術後11目よりPT開始、右膝0−40−110、足0−25−40、術後16日に右下腿皮膚壊死に対し有茎植皮、遊離植皮、麻酔下可動域は膝0−0−120、足0−0−45であった。緊急手術後23日、植皮後6目よりPT再開。現在膝0−0−100、足0−20−40である。ROMの改善について間題提示された。現在は三角靭帯を狙ってのmobi1ization、前足部のmobi1ityの維持、膝はsettingをbiofeedbackを使い行っている。意見としては、現在の状況では皮膚を最優先させることが重要であり、そのためには安静が重要となる。7才ということで、今後の成長に伴うremoderingが十分に期待出来る。そのため皮膚にストレスがかかるような運動は避け、pate11aの動きや、前足部など可能な都位のmobi1ityを十分に確保し、皮膚の状態を待ってROMを進めて行くべきであろうとのことであった。非常に重症例であり、困難ではあるが何を最優先して訓練を行うべきかを確実に押えておく必要がある。ここを間違えると治療を阻害してしまうことにも成りかねないということを明記しておきたい。(文責:国立津病院 岸田)

 平野総合病院 理学療法士 小野先生より脛骨剥離骨折(ACL付着部)症例についての治療報告が行われた。スキーにて転倒受傷しポタン固定にてOP、以後ギプス固定を4〜5Wしてからの理学療法開始であった。治療を続けるもROMの改善は思わしくなく3W後に授動術施行、その後は順調に回復し正座可能であった。この経過の中でギプス固定が少し長いようにも思われたが、PTとして授動術施行に至っだ治療的反省と授動術後の理学療法について討論された。まず反省として治療初期の段階で可動域制限を来している要因を十分把握できていなかったこと、また、屈曲時の関節痛の考察が不十分だったため治療自体が消極的だった事などが挙げられた。授動術時の所見として90度付近で抵抗があったがその後は容易に可動域が得られたことから70〜90度付近での膝関節運動について再検討が必要との意見が出された。次に授動術後の考え方であるがフロアーから@授動術で得られた可動域は必ず維持することA屈曲ばかり考えがちなので伸展についても十分配慮することB徐々に自動筋収縮を用い複数回運動できる環境をセットすることC隣接関節の位置関係に留意することなどが挙げられた。顆間下隆起骨折は骨折都が安定すれば靭帯機能は正常に復するため、その後の予後も良好との報告が多い。修復過程との関連の中での運動療法の選択は難しい間題であるが逆に考えてゆかなくてはいけない間題であろう。(文責:平成医療専門学院 林)

 平野総合病院 理学療法士 小野先生より左足関節三果骨折の症例が出された。受傷1WにてOP施行しギプス固定中である。OP後1Wでリハ開姶となっているが、PTBを採型し3Mの免荷を予定しているとのことであった。実際にはまだ訓練は始まっておらず、これからの訓練内容について意見が交わされた。まずフロアーより3Mの免荷は長いため、0Pの固定性に間題がある可能性があるとのことであった。ギプス中は中で各方向についてIsometoricをかけてゆくこと、足趾の運動を十分に維持しておくことが挙げられた。ギプスカットされてからは、edemaを十分に除去すること、activeを十分に使い関節面のremoderingを促すことなどが挙げられた。更に高齢であればギプス中に患側をプラットホームなどで膝立てとし、足部を完全に除いた状況で歩行訓繰をするという案が出された。更に荷重が許可になればエッジを使い体重にて持続的にストレッチする方法も挙げられた。現時点ではまずギプス中に確実な筋収縮にて癒着を防ぎ、筋感覚を維持しておくことが重要となる。今後の結果報告に期待したい。(文責:国立津病院 岸田)

 高浜市立病院 大曽根先生より骨盤骨折(左恥・坐骨骨折)、左脛骨顆間隆起骨折の51才の症例が提示された。交通事故により受傷し、1週間後に骨折が分かり入院、左下肢介達牽引下で約1ヵ月の安静後ベッドサイドリハ開姶、その後約3週後よりPWB開姶し、1週間後FWBとなったが、膝・足関節の可動域制限と膝屈曲時の疼痛とが間題として残っている。これに関し、1.膝関節屈曲75゜の理由と対応法、2.行いうるベッドサイド期の治療について意見が出された。屈曲制限の理由としては、膝関節内血腫と長期の安静による膝蓋上嚢での線維組織の癒着が最も考えやすい。その他には膝蓋下脂肪体部での癒着や、MCLの伸張性・可動性の低下、筋の伸張性の低下等が考えられた。治療として、持続伸張(3方向牽引)、pate11ar mobi1ization、Humstrings・Quadriceps femorisの筋収縮力強化、徒手他動屈曲では下腿の内旋を加えるなどが出されたが、痛みの誘発、pate11aの動きや筋の状態を知ることなどにより、制限因子を明確にすることが先決であろう。受動術も必要かもしれない。2.に関しては、足関節の可動域の維持、pate11ar mobi1izationや電気刺激による膝蓋上嚢の癒着防止、股関節外転位がとれれば下腿の下垂等が行いうるだろう。早期の理学療法が必要であった症例と言える。(文責:碧甫市民病院 浅野)

 菰野厚生病院 理学療法士 丸山先生より石灰沈着性腱板炎の症例が提示された。通常、石灰沈着性腱板炎は棘上筋に生ずることが多く、その後静止期、隆起期、流出期を経て滑液包で浄化され治癒すると言われている。よって、発症1週間本症例において行うべきものは安静であり、もしこの時期に理学療法を施行するとすれば、炎症、痛みを増強しない中で可動域を確保することで、筋収縮を伴った運動療法は機能を悪化させる。さらに進めると石灰化が腱板のどこで生じているかを探し、見つかればその筋を緩めた肢位での可動域の確保ができれば良いということであった。炎症と理学療法を考えるうえで良い症例であり、丸山先生においては、また経過を報告してもらいたい。(文責:国立名古屋病院 中川)