第27回整影外科リハビリテーション研究会報告
H.6.3.19 於:国立名古屋病院 第2会譲室

 「股関節について」というタイトルで西尾市民病院 整形外科医長、濱田敏彰先生に講演していただいた。濱田先生は、股関節にかかる圧力に関する論文で博士号をとちれたということもあり、股関節に関わる疾患、術式に関してバイオメカニズムを理論背景にお話された。変形性股関節症に関しては、臼蓋形成不全からの変化、適応術式、術後の理学療法等、輿味深い内容であったが、先生が特に強調されていたのは、人間の股関節は進化の過程にあり、まだ十分なものと成りきっていないことにより、多くの間題を抱えるということであった。そして力学的不利により生じた軟骨の間題が変股症であり、骨の間題が大腿骨頭壊死である。前者に対しては回転臼蓋骨切り術(RAO)、人工関節置換術などが、後者に対しては回転骨頭骨切り術などが行われ、この2つの骨切り術は日本が世界に誇れる術式である。人工関節に関しては素材(強度・対摩耗)、形態、骨との親和性などの間題もあり、急速に進歩しているが、まだ完全なものはないということである。また実物(人工関節)を展示頂き、いくつかの機種に直接触れることができたのはよい経験であった。

【質間】RAO後長期免荷がなぜ必要か
A.軟骨のこと(修復・適合)を考えると長期免荷が必要となる。骨のことを考えると必ずしもそうではない。
【質間】RAO後のSLRは股関節に高い圧をかけることになるが安全か。
A.確かに高い圧がかかるが、許容範囲であろう。厳密に言うと危険かもしれないが、起き上がり動作やトランスファーで下肢がコントロールされない方が危険である。荷重は厳禁であろう。人工関節ならSLRは全く心配はいらない。
【質間】RAO後の固定用K−鋼線はROM exを妨げないか。
A.妨げない。
【質間】RAO後の可動域制限は何によるか。
A.術前の可動域が大きく関与する。術時に関節包をかなり切開することが多い。外旋筋は縫着するが、可動域制限にはならない。

【質間】人工関節のCentral migrationについて。
A.リーミングの間題もあるが、究極的には骨強度の間題といえる。
【質問】人工関節の大腿部痛の原因は?
A.関連痛ではないか。髄腔内のメカノレセプターが、1oosening等による微少な動きをキャッチしているせいと考える。
【質間】人工関節の最近の傾向について。
A.臼蓋はセメントレス、大腿ステムはセメント固定に帰っている。
【質間】人工股関節のROM限界は。
A.術中に必ずチェックしているのでそれが限界といえる。臼蓋の角度、ネックの長さ等が関与する。
【質間】人工関節の摩耗の間題は?
A.かなり改善されたが、重要な間題だ。臼蓋側のポリエチレンが大きいうちは異物と認識されないが、摩耗粉となるとマクロファージが反応してしまう。最近では摩擦係数の少ない素材がでてきている(金属−金属、セラミックス等)。摩耗の間題が解決され、30年持つ物ができたとしてもおそらく人間の骨が持たないのではないか。
 最後に濱田先生の略歴を紹介する。
昭和55年 和歌山医科大学卒業、名古屋第一赤十字病院勤務
昭和58年 中部労災病院勤務
昭和62年 名古屋大学変形性股関節症班所属
平成2年  西尾市民病院勤務インディアナ大学留学
平成6年  濱田整形外科内科クリニック開業(予定)

(文責。碧南市民病院浅野)