第29回整形外科リハビリテーション研究会報告
1994.5.21 於:東社会教育センター第4集会室

国立名古屋病院 理学療法士 岸田先生より「手指腱滑走距離および治癒過程」についてのLECTUREがなされた。FDPが64o、FDSが70o、伸筋では、MPで14o、PIPで6o、DIPで4oとのことであった。WRISTについては、資料が用意できなかったということで、今後の検討材料となった。これらは細かな数値よりも、全体の長さが決まっている腱の断裂に対して、如何にストレスをかけないで他関節のROM訓練を行うかといった時に非常に重要となってくる考え方である。指に限らず全身どの関節についても、こういった考え方は重要であるため再度確認しておきたい。次に腱の治癒過程についてのlectureが行われた。腱は縫合時に3s程ある強度が縫合後5〜10日で300g程度の強度にまで低下する。早期運動療法を行う上では重要なポイントとなる。3週間は安静にすることで修復を待って、その後は積極的な運動療法を開始するのが一般的である。kleinert法に代表される早期運動療法については、十分な知識と技術、医師との綿密な連絡体制がとれていないと危険性が大きい。早期運動療法の意義は、断裂部を治癒させながら且つ癒着を防止することである。そのための基礎知識として、このような病態生理を十分に把握しておきたい。〈文責:国立名古屋病院 中川)

 国立津病院 理学療法士 山口先生よりヒンジ付きTKAの症例についてスライドにて説明がなされた。大腿骨側コンボーネントと脛骨側コンボーネントとが単軸性に連結されるもので、手術としては頻度の少ない手術である。回旋については、脛骨側コンボーネントが二重構造になっており、metalとHDPの間で回旋するようになっている。可動域については、成績がよく130度以上は曲がっているとのことであった。詳細の構造については、資料がほしい方はご連絡項ければ可能な限りお渡ししたいと思います。歩行状態やADL、さらに長期成績についても今後検討していきたい。(文責:国立名古屋病院 岸田)

 国立津病院 理学療法士 山口先生より77才女性の左大腿骨顆部骨折の保存療法の症例について経過報告がなされた。約2ヵ月の入院にて110度までしか改菩せず、退院となり外来通院を隔日程度にて行い約9週にて正座が可能になったものである。大腿四顕筋の活動性が低かったことが長期間を要した最大の原因であろうとの意見が出されていた。如何に早期に活動性を出せるかが治療のボイントとなることは再三研究会の中でも言われてきた。実際の臨床の中で如何に実現できるかが間題となる。一朝一タには無理かも知れないが、早期から意識的に狙っていくことで成績を出していきたいものである、この症例では受傷後6ヵ月が経過しているにも関わらず、外来通院となってから改誉を示したことからも如何にADLでの筋活動が重要でかつ確実であるかということと、臨床の中でこの活動性が早期から出せれば成績も向上するであろうことが予想される。今後の成績が向上することを期待したい。(文責:国立名古屋病院 岸田)

 国立津病院 坂口先生より62才 男性 右大腿骨骨折症例の経過報告がなされた。キュンチャー髄内釘横止めを行ったが、固定性が不良のためLONG CASTにて5週間固定し、その後3週間はシャーレにて固定をしていた。本来キュンチャー髄内釘は固定すること無く早期に後療法が開始できる。今回の場合は固定性が不良であったためしかたなくGYPS固定を行っている。経過としては、GYPS除去時50度であったものが3週後のシャーレ除去時に75度、6週後の部分荷重時に110度、9週後のT−CAN歩行時に135度、現在7週を越えた時点で140度となっている。固定を5週間行っていたにも関わらず現在140度という事で良好な成績であるといえる。訓練内容としては、大腿四頭筋の活動性を上げる事に終始して行っていたとの事で、いかに筋の活動性が重要であるかを物語っている。早期運動療法が重要である事は言うまでもないが、逆に言えば5週間の固定をしても改菩できるという事にもなる。術後の指示が遅い施設であっても、正確な評価と治療を行う事で良好な結果が出せることを念頭に於いて臨床に励んで生きたい。(文責:国立名古屋病院 岸田)

 高浜市民病院 理学療法士 高橋先生より膝蓋靭帯損傷(完全断裂)の症例が呈示された。H6.4.20にdashboard injuryで受傷、同日縫合しGyps圃定(軽度属曲位)を施行し、5/25にシャーレ、5/27にROM開始予定である。検討課題は膝のROMの方法で、膝蓋靭帯への刺激強度をどのように考えたらいいかと言うものであった。ope後5wで、損傷蔀位が付着部近くでしっかり縫えていないことを考えると、一般に靭帯治癒に必要な6wは強いストレスをかけない方がいいと考えられる。しかし、rangeを獲得するにはpatellaの動きを早期から出し、膝蓋上嚢や支帯の癒着を防止する必要がある。その為に、端座位で膝伸展位から屈曲に伴い、pate11aを下方に押していきpassiveで膝蓋靭帯にストレスをかけないように癒着を防止する方法や、positionでは長座位中間位でSettingしたほうがストレスが小さくてすむこと等が、実技の中で出された。しかし、5/6にSLR、5/20に1/2荷重許可されていることより、Dr sideとそのあたりを密にコンタクトをとる必要もあり、次回報告して頂きたい。(文責:国立名古屋病院 中川)

 平野総合病院 理学療法士 小野先生より大腿骨骨幹部骨折の症例が呈示された。H6.2.22に受傷し、3/2にope(kuntscher釘)を施行したが、再骨折にて直達牽引を4w行った。4/1より理学療法開始し、3wにてRangeはFullとなった。しかし、X−P上約50度の外旋が見られる為、5/6に再opeを行った。5/17より理学療法再開し5/20現在knee 0−100という結果である。直達牽引4wの開、理学療法はしておらず開始後3wでFullにしていることは好成績である。注意点は、随内釘は回旋方向の力に弱いことで、骨折部位(大腿骨横経の最小部では随内釘でしっかり止まるがその上下では回旋に弱くなる)や横止めの位置、数等をX−P、Drで確認し、理学療法を進める必要があり、それを示唆してくれる症例でもあった。(文責:国立名古屋病院 中川)
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