第31回整形外科リハビリテーション研究会報告
1994.7.16 於:東社会教育センター

国立名古屋病院 理学療法士 岸田先生より「膝MCLの機能解剖」のlectureが行われた。MCLの表層線維、深層線維についてそれぞれの機能の説明があり、それぞれの線維で働きが異なることを認識した。文献的には側副靱帯は膝屈曲位では弛緩すると記載されているものもあるが、MCLについては各線維が複雑に走行しており、ほぼすべての角度で常に緊張する構造となっている。更に半月板との結合についても主要なMCLの部分では結合しておらず、後方のPOLの部分が強く結合していることや、前方と後方にそれぞれ筋との線維結合があり動的安定装置として重要な働きがあることなど、詳細な機能解剖が確認できた。しかし、膝の複雑な関節軸移動に伴う靱帯の移動による緊張度の変化など不明な点もあり、今後の課題となった。このような機能については、文献的にも詳細に記載されておらず確認が困難であるが、ある程度の機能解剖を基礎とした膝可動域訓練を行っていきたいものである。(文責:国立名古屋病院 中川)

 JR中濃病院 理学療法士 堀先生より43才女性の右膝MCL断裂、PCL2/3断裂、ACL過伸長の患者が呈示された。受傷より2週間リハを施行した後、関節鏡にてMCLのみスパイクワッシャーこて固定し、4週間ギプス固定。その後リハ開始となった。ドンジョイブレース装着にて、伸展制限を付けての訓練で、activeから徐々にmi1dなpassive ROM−exを行い、現在屈曲100度となっている。FTAも165度で片脚立位での不安定性を認めている。屈曲制限因子を検討した結果、外反動揺がみられることからもMCLについてはどちらかと言うと緩いと考え、MCLによるものではなく、炎症による関節内圧の上昇にともなう痛みとの関係でのmuscu1e guarding、四頭筋、retinacu1um、大腿膝蓋靱帯、を中心とする伸展機構に関与する軟部組織の柔軟性の低下が主な原因と考えられた。それに対しては、筋活動を十分に出していき、膝伸展を十分に獲得しておいてのpate11aの可動域を十分に獲得していくことなどがあげられた。さらに、MCLということでFTAが重要な指標になることがあげられ、荷重時期や屈曲時の下腿の誘導などに十分注意することが必要であるとのことであった。更に、膝内側の痛みについては半膜様筋の活動性の低下による半月板の後方引き出し機能が不十分となり、そこから波及する前方線維の引き込み機能の低下がもたらしていることも考えられるため、早期からの十分なハムストリングスの刺激が重要であるとの意見が出された。また、この症例ではドンジョイブレースを使用していたが、ドンジョイは前後、回旋の制御はよいが側方の制御は不十分であり、側方を考えるのであれぱ多軸性のGUやCTiが良いであろうとの説明がなされた。装具についても医師やPTの意見が少なく義肢装具士に依存していることが多いとのことで、我々PTもある程度の知識と、治療方針を明確に持った上でのデイスカッションが十分に持てるようにしていきたい。本症例は外来治療となってから可動域の減少がみられたとのことで、home−exを如何に有効に行わせるかということも重要になってくる。しかし、訓練室にてPTが的確な冶療をする事が育効な自主訓練につながることを十分に把握して今後の訓練を継続していっていただきたい。今後の経過に期待するものである。(文責:国立名古屋病院 岸田)