第33回整形外科リハビリテーション研究会報告
  1994.10.15 於:国立名古屋病院 第2会議室

 平成医療専門学院 理学療法学科 林先生より変形性膝関節症における足底板療法についての一考察と言う題でlectureが行われた。これはなぜ変形性膝関節症では踵骨が外反するのか、なぜアーチが減少するのか、膝が悪くなったから足部が変形するのか、またその逆か等、未解決な部分を機能解剖をもとに理論背景を検討したもので、今回は、足部がもとで変形性膝関節症が生じると考えた場合と、逆に膝関節のアライメント異常が足部のアーチ低下、踵骨外反を生じると考えた場合とをそれぞれ推論された。
 前者は靭帯および筋力の低下に伴い、前足部のアーチが崩れることで舟状骨・立方骨がそれに伴いアライメント異常を起こす。最終的に全体のアーチが崩れ、下腿の内旋及び外方傾斜を引き起こす。それと相まって荷重によるもの及び立方骨の誘導などにより最終的に踵骨の外反が起こると推論した。
 後者の場合は大腿骨彎曲の変化、筋力低下によるバランスの変化が引き金となり、荷重軸が内側変移する。そのため内側関節裂隙の狭少化が起こり、下腿の後方及び内旋動揺性が出現する。さらに膝関節の内反変形が出現し、それを是正するために踵骨が外反する。その踵骨外反に誘導されるように立方骨のアライメント異常が起こり、前足部へ影響を及ぼすことで全体のアーチが低下すると推論した。
 どちらにしても今までの文献では明記されていない部分であり、さらに言えば推論の域を脱しているわけでもない。しかし、このような考え方が、証明されれば変形性関節症等の足部アーチの変形に対する対応が確立してくるものと思われる。今後の展開として、我々の研究会にてこれら推論を検定していくことで更なる確信を追求していきたいものである。   (文責:国立名古屋病院 岸田)

 国立名古屋病院 理学療法士 岸田先生より左膝膝蓋靭帯皮下断裂、左腓骨骨折の症例が呈示された。opeは受傷後5日Bunnel法にて縫合し、tibiaとpatellaをsoft wireで8の字に固定した。4週後CPM(30゜)、許可を得てpatellaのmobilizationを開始する。2週後にCPM90゜ope後約8週でFlex100゜でこの時期から最大屈曲位でのisometricを開始し、ope後9週の現在Flex135゜、全荷重可の状態である。外来での指示がないためFollow出来ないが、この角度であれば訓練の指導により正座までいけると思われる。膝蓋腱の断裂は珍しく、本邦でも1993に初めて発表され、以後40例を数える程度である。古賀の分類によると、Type1がtibiaのavalsionがあるもの、Type2がpatellaのavalsionがあるもの、Type3がruptureのみとしType1、2は10代Type3は30〜40代に多いとしている。(Type3は40例中18例)後療法の詳細はないが靭帯の修復を考慮し、6週固定後運動療法を開始するのが一般的である。この症例の場合は、早期からのpatella下方へのmobilizationが不可欠であったと考えられる。
(文責:国立名古屋病院 中川)

 国立津病院 理学療法士 坂口先生より右変形性足関節症による人工足関節置換術(以下TAA)の症例が呈示された。平成5年に階段から落ちて以来右足に痛みがあり、今年6月に入ってope勧められ8月にTAA施行している。ギプス固定は4週(以後シャーレ)で3週目より理学療法開始し、ope後6週の現在ankle DF 5゜PF 40゜である。訓練は時間をかけてisometric-ex、坐位でactiveでのankleの引きつけ、pulleyを利用しての牽引などを行っているが1週ほど改善が止まっている。ope中はDF15゜PF40゜であることを考慮し、問題点の整理と訓練法方法について検討された。一番の問題は浮腫であり、浮腫が残ったままでの訓練では、効果が得られにくく徹底した浮腫対策が必要であること、X-P上ギプス中はtalusが入っていたがシャーレになってからはtalusがしっかり入っていない為、現在行っている夜間シャーレ時のpositionを正確に行うこと、皮切はTAとEHLの間で入っており筋の損傷は少ないため浮腫の軽減後十分な筋収縮を出すこと、さらにcalucaneusが内反傾向にあることと受傷が階段から落ちたことを考えると靭帯損傷からOAに移行したと考える方が自然なため、最終的には三角靭帯(特に後方線維)のstretch、内果後方を通る後脛骨筋腱周囲での可動性を得ることが必要であることが挙げられた。TAAも開始は1973年で、症例数も少なく成績に至っても長期的には可動性がdaze(固定術)とかわりないものが多い。しかし、この症例でもope中DF15゜ある為、可動域を維持し、長期的に変化を追いたいものである。    (文責:国立名古屋病院 中川)