第34回整形外科リハビリテーション研究会報告
於:1994.11.19 東社会教育センター 第4集会室

 愛知ブレース 石井先生と平成医療専門学院 林先生を中心にフットプリンターを用いた足形の採計とそれを用いた計測方法の検討、ならびに実際にモデルに対してソルボセインのアーチを用いて扁平足に対するアーチの処方のポイントと下腿の回旋、膝の角度変化を確認、検討した。フットプリンターの使用方法についてであるが、先ず被検者の足底を指定のウエットテイッシュにてまんべんなく拭き、フットプリンターの青い面を上にして平らな床に置く。そのうえに被検者の足を付けて片脚立位をしてもらうことで簡単に採計が出来る。検者がテイッシュを持った手でそのままフットプリンターを持つと感光してしまうため注意する必要がある。各施設で同様の方法で採計していただき、その足形に対して前足部と踵部の幅の比率を検討して、研究会にて集計、統計処理を行っていきたい。計測時に被検者の母指と第5趾のMP関節部をチェックし、検者が片脚立位をしているときに直接フットプリンターの上にそのMP関節レベルをチェックする。その2点を結んだ直線距離を前足部の幅とし、その直線に対して平行移動をした直線で踵部の最大幅の距離を踵部の幅とする。資料の図2の左側のa及びbがこれに当たる。よってb/a、すなわち前足部を踵部で除した値がこの比率にあたる。これを出来ればX−p上での腰野の分類でgradeとともに集めていくことでまとまった。幅の計測方法については、様々な意見があったが、何か基準を設けなければ統計できないということで、今回はこの方法を基準にした。
 実際にモデルにソルボセインのアーチを装着した場合は、下腿の内旋が制御され膝の過伸展が消失した。本人も多少足底に疼痛を訴えたが、制御されていることを十分に実感しているようであった。市販のアーチでは十分な効果が得られないことが多いため、各症例に対応して盛ったり削ったりと工夫する必要がある。舟状立方関節を十分に持ち上げるような工夫が必要となってくる。処方する前に市販のものを使い各症例ごとに微調節を行った上で実際に装着した状態を評価し、そのうえで処方をしていけるとより有効であると思われた。                     (文責:国立名古屋病院 岸田)

 市立伊勢総合病院 理学療法士 長縄先生より30歳男性の右足関節脱臼骨折、右脛骨関節内骨折、右腓骨骨折、右足関節靭帯損傷、右後脛骨筋断裂の複合損傷の症例が呈示された。受傷機転は3mの高さからの落下であるが、いわゆるLauge-Hansenの分類では説明できないものの、pronationーdorsifrlexion typeで更に強力な外力が加わったことと、骨片が何らかの形で固定されたことによる靭帯損傷が考えられた。骨に対してはscrew等にて接合術が施行され、靭帯および後脛骨筋については可及的に縫合されていた。gyps固定にて術後1日より足趾の自動運動開始し、術後4週で夜間シャーレにてROM訓練を開始した。この時点でDF -20度、PF 40度であった。訓練を軟部組織の癒着と考え後療法を進めたが、術後8週の現時点でDF 0度、PF 45度、外反 15度、内反 35度である。検討の結果、内果の後方が堅く柔軟性に欠けていることと損傷部位を考えて、後脛骨筋とその他の隣接している筋群との癒着は十分に考えられるとの意見で一致した。さらには後方から内側にかけての関節包、三角靭帯の後方線維の癒着、瘢痕化が考えられた。経過として靭帯、軟部組織に対するmobilization等は行ってきているようだったが、損傷が重度であり早期の訓練に対して制限があったことも原因の一つと思われる。今後もmobilizationは行っていくべきではあるが、X線から脛腓関節が離開してきているように思われるため、通常行いがちな外反方向のストレスは危険と考えられた。また距骨に対してはなるべくtractionをかけながら行うの方が有効と言うこともあり、proneでtherapistの前胸部に前足部を当て固定し、下腿を保持しながら引き寄せるようにして距骨の後方へのmobilizationを行うと有効的であるとの意見が出された。更に靭帯、関節包等の癒着からきているものと考えると徒手的に行うだけでは限界があるため、荷重が許可されているためwedgeに立たせての持続伸張を行う方がよいとの意見も出された。当然のことながら、腱のexcursionを改善しながらamplitudeの改善もねらっての筋収縮を十分に出した上で行うことが重要である。更に付け加えると、脛腓関節の離開が見られることから今後は関節不安定生が出現することが危惧されるため注意を要する。非常に重度の症例であり、後療法も非常に困難であるとは思われるが今後の治療に期待したい。
(文責:国立名古屋病院 岸田)

 松阪中央総合病院 理学療法士 熊谷先生より50歳女性の右示指伸筋腱断裂の症例が呈示された。割れたガラスのコップを洗っていてPIP関節の直上あたりに受傷したが、約3週間そのまま放置した後に腱縫合術を施行されている。術後は4週間の伸展位固定を行い、更に4週間は後療法を行わず術後8週の時点で受診され後療法が開始されていた。受診時はMP関節のROMは屈伸ともに正常であった。PIP関節で屈曲90度、伸展は正常、DIP関節で屈曲55度、伸展正常であった。現時点ではMP関節の肢位に関係なくPIP関節屈曲90度(100度)、DIP関節屈曲10度(60度)である(自動屈曲についてはPIP屈曲位よりも伸展位の方が良好であった。)。考えられたことは伸筋の癒着であったが、自動のDIP関節伸展運動が行えるため、伸筋は考えにくい。長期放置例であったため、伸筋の静止長が短縮したとも考えられたが、MP関節や手関節の角度に影響されていないことから考えにくい。斜支靭帯の癒着、短縮も考えられたが、PIP関節を伸展位にする方がDIP関節の自動屈曲が良好であるということから考えにくい。以上のことからDIP関節単独の原因による拘縮と考え、側副靭帯の癒着、短縮が原因であろうと考察された。自動屈曲が不十分であるため、いかに深指屈筋まで十分に働かせるかが問題となったが、作業療法を併用していくことでより有効な手段を考えていくしかなく、現時点では最良の方法というのは挙げられなかった。今後関節についてはsuppleにした上で筋のexcursion、amplitudeを改善させる良い方法を様々に試して報告していただきたい。
(文責:国立名古屋病院 岸田)