第36回整形外科リハビリテーション研究会報告
1995.1.21 於:東社会教育センター 第4集会室

今回は通常のいわゆるlectureではなく、実技を中心に行った。前回の五十肩のlectureにて行った肩関節周囲筋のisometricやG-H関節のmobilizationを各グループに分かれて実際に行ってみた。それぞれが検者、被検者と経験し、実際の臨床場面で行っている自分自身の手技の効果についての確認が出来たものと思われる。僅かな違いでも効果的には格段に違いが出ることを実感できた有意義な時間であった。これからも各会員の意見を参考に、実際に検者、被検者を体験し、より有効な手技の確認と、新しい方法論の確立になるようこのような実技形式のlectureを取り入れていきたいと考えている。行ってみたい内容が各会員からも多数出てくることを期待し、今まで培ってきた様々な知識を総合的にまとめ臨床の場面で成績として出せるように頑張りたいものである。
                      (文責:国立名古屋病院 岸田)

 松阪中央病院 理学療法士 熊谷先生より27歳男性の左股関節形成不全に対するRAO施行後の症例が呈示された。1年ほど股関節痛が強くほとんど免荷状態で生活しており、今回の術前の状態が、股関節屈伸が10-0-90、内外転が15-0-30、内外旋が50-0-30であった。H.6.10.13にRAO施行し、術後2週で理学療法開始となった。疼痛が強く、自制内での自動運動が中心となった。13週で片松葉杖歩行となったが、この時点での股関節屈伸が、5-0-70、内外転はほぼ左右差無し、内外旋が35-0-30であった。kraftについては屈曲が4−、伸展が4、外転が3−であった。14週にて退院したが、今後の屈曲制限と外転筋力の低下をどう改善していくかが問題となった。屈曲制限については、術前からの状態から考えてimmobilityによるものでcapsule、ligの短縮、癒着が考えられた。RAO自体にROM制限が起こる理由はないため、術後早期は骨頭と臼蓋の関節面が十分に
remoderingするようにactiveな運動を十分にさせることが重要であり、その後荷重が始まるような時期からROM制限に対して、Capsuleを狙ったmobilization等の手技にて改善を目指していく。経験のある先生からは、術前の角度が大きく関与しており、相関があるとのことであった。mobilizationの手技については、平成医療学院 林先生に実際の方法を行ってもらうことで確認できた。筋力についても外転筋力は経験のある先生からもなかなか改善してこないとの意見が出され、時間的にかかるであろうとのことであった。術前より歩行障害や疼痛のため荷重、歩行、行動範囲が十分に行えていないことが術前後の可動域や筋力と言った問題点を形成していると考えられた。    (文責:国立名古屋病院 岸田)

榊原温泉病院 理学療法士 堤先生より40歳男性の左鎖骨骨折、左烏口突起骨折の症例が呈示された。落馬にて受傷し、近位にてope(鎖骨に対しては遠位端を切除しplateにて肩峰端に引っかけるようにして固定。烏口突起に対してはそのまま整復位にて螺子固定。)施行し、後療法も施行されていた。術後約8週の時点で転院となり、訓練を開始した。初期の時点で、肩屈曲60度、外転70度、外旋15度であった。疼痛が強くさほど訓練が行えず、2週半の現在で屈曲80度、外転75度、外旋15度である。状態としてはG-Hに制限があると考えられるため、Codmanを施行していくしかないが、筋収縮が入ることで鎖骨部に疼痛が出ることが十分に考えられるため、確実な肩甲骨の固定が必要で、一人で出来なければ二人掛かりで行うことが挙げられた。現時点では拘縮を除去することが重要であるが、primaryにて訓練が行えるのであれば、早期から確実なCodmanを行いG-Hを確実に維持することが重要であり、それが出来ていれば今回のような状態にはならなかったのではないかと考えられた。しかし、現実としてはこのように術後経過の長い症例がリハの対象となる施設は多く、拘縮予防と言ったprimaryに携わることが少ないのも事実である。今後よりprimaryな時期から積極的に携わることが出来るよう、各会員ともに十分な知識と、手技を身につけていきたいものである。その為にも研究会でのlectureが今後十分に役立つものになるよう期待したい。                (文責:国立名古屋病院 岸田)