第37回整形外科リハビリテーション研究会報告
        1995.2.18 於:国立名古屋病院 理学診療科

 市立伊勢総合病院 理学療法士 長縄先生より炎症についてのlectureが行われた。内容は創傷治癒過程を中心に進められ、線維形成期、成熟期の重要性が指摘された。線維形成期は受傷から2週前後であり、この時期コラーゲンは正常の4倍にも達し拘縮の原因をつくる為、gyps肢位、positioning、edema対策が必要となる。さらに成熟期では、適切な刺激を加えることでcross-linksを減少させ、機能的なremoderingを促すようにしたい。炎症や、軟部組織、骨の修復過程を理解することの重要性は常に研究会で基礎となるテーマであり、特に各時期との関係を知ることで、理学療法を開始する時期の選択とその内容の理論的背景をなす一つとなる。これを機に各自もう一度確認しておく大切な内容であった。

 市立伊勢総合病院 理学療法士 長縄先生より左手関節脱臼骨折、右股関節脱臼骨折、左膝関節脱臼骨折、右上腕骨骨折の複合損傷の症例が呈示され、検討内容は左手関節の脱臼骨折に絞られた。ulnaの骨折とBarton骨折を伴い、受傷日に徒手整復、シーネ固定、患肢挙上、3日後直達牽引、10日後創外固定しwire2本で固定した。約4週で創外固定を除去、wireも抜釘した。理学療法は他の治療もあったため開始は約9週後でありrangeはDF、PF共に30゜であった。X-Pでは、radial shortning、radial deviationの障害は少なかったが、dorsal tiltはflatに近くPFにおいては最終域での骨性制限の可能性が示唆された。またRLA(橈骨月状骨間角度)、さらにSLA(舟状骨月状骨間角度)も増加しPISI変形を呈していたことからdorsalのlig、特にRSC、RL、RCLなどが短縮していると推測できる。これは、Flexorの収縮を促すために行った運動でRLA、SLAが強くなる方向となり痛みが増強したということの裏付けでもある。通常は筋の収縮を促すことでのmeritが強調されがちであるが、この症例では逆にdemeritになったことに注意したい。よって治療としてはtractionをかけての筋収縮促通、dorsalのlunatum、scaphoideumにかかるligを狙ったmobilizationなどを考慮する必要があることが確認された。また手根骨に影響の少ない牽引中に手指の運動を促すことで、骨間膜を伸張させsupinationの制限を防止出来ればとの意見も出た。他の関節と共に、ぜひ次回経過を報告して頂きたい。PTはX-Pを見ることが苦手であるが、得られる情報はとても大きく、常に見る習慣をつけたいものである。

 国立名古屋病院 理学療法士 岸田先生より肩鎖関節脱臼で受傷後半年を経過した陳旧例が報告された。A-Clig、C-Cligは共に断裂しているTossyの分類のV型で、opeとしてA-CjointにはK-wire2本でZugをかけ、C-Aligを肩峰端で切除し鎖骨の断裂したC-Clig端に縫縮するWeaver変法がとられた。ope後3週で理学療法を開始し、G-Hjointを確保するためにscapulaを固定してのcodmanを施行している。そこでG-Hjointがしっかり維持できているのかという技術的な問題が提起され、scapulaの固定も含めて実技を行った。一人でscapulaを固定しcodomanをすることは難しい場合が多く、その時は二人で行う方が的確である。そしてスタッフ間、患者の健側を利用して、scapulaを止めて上肢を動かしたときのend-feelの感触を確かめ、codoman時もそこまで動きが出せるようにしておくことが必要である。さらにtarminal-rangeで外旋を入れて後に制限を作らないことも大切であることも確認した。                        (文責:国立名古屋病院 中川)