第40回整形外科リハビリテーション研究会報告
1995.5.20 於:国立名古屋病院 理学診療科

 今回のlectureは、前回の山口先生の講演の中で十分に理解できない部分を各会員に列挙してもらい、林先生を中心に骨標本を用いたり、実技を行って理解していった。最初はcapsuleの緊張状態についてであった。capusuleは従来陰圧で、G-Hで約30゜のscapula planeの状態が全体として緊張状態がほぼ平衡であるという考え方であった。そのため約30゜を境にして、下垂することで上方部分が緊張し、挙上する事で下方が緊張する事が推察される。これは上腕骨頭へのcapusule付着部である軟骨縁のラインがglenoidと平行になるのがほぼG-H30゜の状態であることから説明された。これを応用することで各positionでのcapusuleの緊張状態が理解できる。ただcapsuleの線維は一方向だけではなく、様々な方向に絡み合っていると予測されるため、この考え方はあくまでも全体としてとらえた場合に拘縮を評価する上での情報の一つと理解されたい。更には、それから評価された部位に対するmobilizationの方法を実技を通して各自で確認した。実際にこの約一ヶ月の間で臨床に於いて山口先生の講演が有効的に活用されているかは、各自で実感されていると思われる。臨床にて結果が出せるようにするためにも、各自で確実に考え方を理解していきたい。                    
 国立名古屋病院 理学療法士 中川先生より20才男性の右大腿骨頸部内側骨折の症例が呈示された。3年4ヶ月前に受傷しCHSを施行した。約2年後に抜釘したが骨頭壊死の可能性を指摘され、免荷歩行を指導されて当院を受診。H7.4.27(post-ope.3年3ヶ月)よりリハ開始となった。初期にてhip flex 80゜,ext -40゜,ER 10゜,IR 0゜,add 0゜,MMT iliopsoas 4,quadriceps 4,hamstrings 4,abd 3,add 3‐であった。painは伸展位ほど増強し、荷重痛も強く歩行も障害されている。保存でいく場合とopeを予定している場合での理学療法の内容について検討された。Xーp及びMRIにて骨折部が遷延治癒していることは明らかであり、少なくともmobilizationは危険であると考えられた。またROM制限因子はcapsule、iliopsoas,gluteus、が考えられた。保存を考えるときその中心は痛みである。免荷をさせるためbraceをつけ、痛みのない範囲で筋トレを行うとの意見もあったが、逆にそのためにbone atrophyを助長する事が考えられ、いずれ必要となるopeに対するdemeritが上げられた。crutch、caneをうまく指導し除痛を計ること、伸展制限により生じる脚長差を補高で矯正すること、remodelingを考え自制内での運動などが出された。opeをするのであれば可及的にROMを改善させ、筋トレを進めていいのではという意見が出た。今回の症例は、PTが入れないところでの問題があるものの、Drの治療方針により治療の進め方において全く異なった考え方が要求されることがあることを考えることができた。        

 平野総合病院 理学療法士 加納先生より48才 男性の右変形性肘関節症に対する関節形成術後の症例が呈示された。ope前のROMが0-45゜-90゜(健側 0-10゜-130゜)であった。術中角度は0-25゜-125゜であった。90゜シーネ固定を5日間行い、その後リハを開始した。開始当初はedemaが著名であり、圧迫と自動運動を中心に訓練を進めた。訓練開始2週半の時点でROMが0-30゜-125゜(115゜)となった。術中角度と比較してextの制限と、activeでの屈曲の不足を今後どうしていくかが検討された。屈曲の不足については、術前より1年近く屈曲制限があったことから、屈筋のamplitudeが低下しているためで再教育させていくことで十分に改善してくるとの意見が出された。ext制限については前方のcapsuleの伸張性低下によるものが考えられ、これについてはbrachialisやbicepsを使い刺激を与えて伸張していくとの意見が出された。またMCL及びLCLに対するstretch,mobilizationを行うことで改善が期待できるとの意見が出された。今回の症例は術中角度がほぼ獲得できており、非常に優秀な成績であるといえる。文献では肘の関節形成術後の成績は必ずしも良いわけではなく、後療法については理学療法をしない方が良いという文献も時には見られるほどである。今回の症例のように適時に理学療法を行えば十分満足のいく成績が出せると考えられる。特に術後のedemaをいかに早期にとり、確実な自動運動が行える環境を作るかが重要であると考える。どのope後にも共通の課題であり、確実な後療法を行っていきたいものである。
                    (文責:国立名古屋病院 岸田)