第42回整形外科リハビリテーション研究会報告

1995.7.15 於:国立名古屋病院

 中日ドラゴンズ medical coach 鵜飼先生より肘関節の機能解剖についてlectureが行われた。基本的な解剖学から、靭帯の運動学、骨の形状などについて説明がなされた。今までにも一通り学習してきた事ではあるが、改めて説明されると確実な知識となっていなかった事が再確認できた。更に野球肘を例にして変形性肘関節症の発生機序についての説明がなされた。従来の考え方のみでなく、最近の知見が報告され、骨棘の発生など興味のある考え方であり、各自で一度文献等で整理しておきたいものである。

 市立伊勢総合病院 理学療法士 長縄先生より左示指伸筋腱及び左橈側手根伸筋腱断裂の症例が呈示された。H.7.4.2受傷し、緊急入院となる。翌4.3ope施行(腱縫合術)し、gyps固定(wrist DF 30゜、MP flex 30゜、IP 0゜)にて、術後4週からROM訓練を開始した。初期評価から最終評価までが詳しく行われており、wrist、Mp、PIPの各関節をそれぞれに屈曲位にしたり伸展位にしたりして様々な条件での関節可動域を評価していた。今回の症例検討では、手の理学療法自体が経験の少ないものでもあり、治療法についてもあやふやなことが多いため、評価を中心に検討がなされた。拘縮を考える上では関節の角度については周囲の各関節の角度変化の影響を十分に考慮して行うことが重要である。関節拘縮なのか腱の癒着なのかを評価するためには必要不可欠なものである。今回の症例では最終的にはwrist DFにてROMはfreeであったが、PFにした時にはPIPおよびDIPが屈曲不能であったことから、関節の拘縮はなく、Wristよりも近位部での腱の癒着があったと解釈できる。今回の場合はいわゆる機能的肢位での関節への影響がないことから成績としては優秀であったと言える。しかし腱の断裂には無関係の中指、環指に同様の症状がみられることから、早期運動療法の方法に考慮すべき点があったのではないかとの指摘があった。非常に見落としがちなことではあるが、伸筋腱は1〜6のコンパートメントに区分けされており、示指伸筋腱と総指伸筋腱は同じ第4コンパートメントに入っており、それぞれの損傷による出血、炎症反応が容易に影響を与える環境にあることを理解し、早期より癒着を防止することを念頭に入れた後療法が必要となってくる。今回の症例で新しく確認できたことを生かして今後の後療法を進めていきたい。
(文責:国立名古屋病院 岸田)

 岐北総合病院 理学療法士 森井 幸一先生より60才 女性の右大腿骨遠位粉砕骨折、右脛骨外側高原骨折、右膝外側半月板損傷、右大腿動脈損傷、右腓骨神経麻痺の症例が呈示された。H7.4/5自転車にて転倒し受傷、4/11ope施行(Mayのplate+骨移植+HAP、半月板切除術)、gyps固定し、4/21リハ開始となった。初期の時点ではMTP伸展不可、足趾のシビレ感があった。術後約3週の5/8にgyps cut、この時点で下腿から足趾にかけて浮腫が強く、膝ROMは0-15-70、足関節DF-20度であった。MMTではQuad 3−、Hamstrings2+、T.A0、Gastro2〜3であった。浮腫除去と筋活動を向上させることを中心に訓練を行ったが、7/10、術後3ヶ月の時点で膝ROM0-5-90(lag10゜)、足関節DF-20゜であった。検討内容として膝のROMの改善が中心となった。様々な意見が出されたが、術後3ヶ月でFlex90と変化がなくpatella-altaということから原因としてはsupra-patellar-pouchの癒着が重要な因子としての意識が高かった。訓練内容としてはほとんど考えられることを行っているようであったが、結果が十分に出せなかったということで、実技にて実際に行った訓練を呈示してみた。屈曲角度を獲得するにおいても、特にQuadの筋活動を十分に引き出すことでlagを改善し、正常のamplitudeを得ることが重要であるということから、この点につき森井先生と数名の先生がデモを行い、long-sittingやproneでpatellaへの抵抗を変えてpointとなる筋をねらって収縮を得ることはいいが、術後3ヶ月でsupra-patella-pouchに癒着が考えられる現状を考えるとsittingで下腿を垂らし、そこからさらにpatellaを押し下げた位置より収縮を促して、癒着を取りにいくことや、内側斜広筋のoriginである内転筋の活動を促して筋活動を得ることなどの必要性が出された。症例によっては筋収縮が得られにくく、また軽視しがちであるが、いかにして筋収縮を十分に出すかが成績を左右することを再確認した症例であり、厳しいものはあるが是非成績を報告していただきたい。
    (文責:国立名古屋病院 中川)  !!