第44回整形外科リハビリテ−ション研究会報告
1995.10.21 於:国立名古屋病院
 今回のlecutureは膝関節に於ける伸展機構ということで前半をその基礎として松坂中央病院の熊谷先生に、後半を実技を含めて平成医療専門学院の林先生に御願いした。基礎については、Quadricepsの起始、停止とその走行、働きについて復習してもらったが、Vastus Medialisが17度前後の線維方向をもつのに対しOblique Vastus Medialisは約50度の線維方向をなし、Add.Magnusと連結をもつこと、Oblique Vastus LateralisはITTと連結をもつことが紹介され、また、Quadricepsの形態測定として膝角度と筋厚増大率より、Vastus Intermediusに高い伸張性が要求されることや、patellaの安定機構とlever armとしての働きについても概説が加えられ、どれも臨床上への応用が示唆される内容となった。後半では、さらに臨床的に、膝が伸びないということが膝が曲がらないということに繋がる過程が説明され、主題である伸展機構を理解することの重要性が強調された。伸展機構には、Quadriceps、lig、retinaculum、suprapatella pouchと種々の軟部組織が関与している。これら伸展機構が正常な機能(伸展性、柔軟性)を持つこと、言い換えればここに伸展性、柔軟性の欠如、癒着を生じさせないように維持、改善することが『膝が曲がる』ことに繋がる。方法としては、そのelasticityをQuadricepsの収縮力に依存しているものが多いため、Quadricepsの収縮を出すことが必修であり、特に膝の長軸運動ではその収縮を得にくいVastus Medialis,Lateralis、Oblique Vastus Medialis,Lateralisをいかに活動させるようにもっていくかが鍵になる。実技ではそれを確かめるため、patellaに対する抵抗を筋線維方向に沿って変え、収縮力の違いを確認した。これを機に、もう一度膝の伸展機構の重要性を見直して、臨床に役立てていきたい。

 岐北総合病院 森井先生より左大腿骨顆部骨折の症例が呈示された。症例は、89歳女性でH7.8/22に転倒により受傷している。同日30度でgypsし、6週後の10/6にgyps除去し理学療法を開始している。8週経過した現在、knee flex 100 ext -30 lag 15度で、今後の進め方について検討を行った。X-pでは受傷時に較べて顆部が後方に振っている感があり、またDr sideより偽関節の疑いがあって手術の可能性もあるということである。意見として、高齢を考慮した全身管理の必要性、lagの改善をquadの収縮を十分出すことで図ること、ROMでは固定性を考えtraction入れたり、関節の軸が骨折部にならないように徒手またはtherabandなどでstressの方向性を調節すること、passiveよりactiveを用いること等が挙げられた。実技では8週経過していて、しかも顆部の骨折であることからsuprapatella pouchを中心に癒着が十分に考えられるため、patellaを長軸方向に下げてquadの収縮を出すことで改善を図ることなどを行った。また、高齢で円背があるということで必ずしも完全伸展を図ることが目的でなく、機能的には病前の歩行も知ることで軽度屈曲位で支持性をしっかりつけることに重点を置く方がよい場合があることも確認した。今後は、手術の可能性もあり、そうなれば癒着した部位を剥離してもらい早期より癒着防止につとめる必要性が出てくる。是非治療の経過を報告して頂きたい。                 (文責:国立名古屋病院 中川)