第45回整形外科リハビリテーション研究会報告

於:1995.11.25 国立名古屋病院

 今回のlectureは足関節の機能解剖を中心に前半を城山病院 理学療法士 大島先生に、後半の臨床に関連した内容を碧南市民病院 理学療法士 浅野先生が行った。前半ではAnkle Mortiseについて、距骨を含めて骨の関節面の特徴の把握や運動学に基づいた形態の特徴などを学習した。また、足関節靱帯機能についても確認し、運動との関連を学習した。更に、dynamic stabilizerとしての腓骨の動きや役割についても学習した。特に腓骨の動きについては、骨のしなりと言った骨自体の特性があり、なかなか理解しにくい所であるが、軽視されがちな部位でもあるため確実に理解しておきたいところである。後半の臨床に関連したところでは、先ず足関節の運動学に用いられている用語についての説明がなされた。用語が反乱しており、曖昧になっているところがあるので注意すると共に、統一しておきたい所である。また、関節包とFHL、FDLとの関係からGyps中の運動療法の重要性が確認された。また足関節部骨折の分類として、Lauge-Hansen分類について説明がなされ、実際にX線から分類、診断をするなどより臨床的な学習がなされた。更に実際のX線より、固定肢位における問題についても検討するなど普段はなかなか出来ないことを実際に行うことでより理解できたと思われる。足関節に限らずこのような考え方で評価、治療を進める事が重要であると実感させられた。

 市立伊勢総合病院 理学療法士 長縄先生より26才男性の交通事故受傷による、右前十字靭帯不全断裂、右後十字靭帯断裂、右内側側副靭帯付着部剥離骨折、右膝蓋靱帯不全断裂、右膝蓋骨骨折、右膝関節開放性脱臼、右腓骨神経損傷、右内側半月板断裂の症例が呈示された。手術としては、ACL・PCL縫合、MCL付着部はキャンセラススクリューにて固定、膝蓋骨骨折にはzug法、内側半月板縫合、膝蓋靱帯縫合を施行した。術後4週の時点でbraceにて0-30゜-80゜制限にて理学療法が開始となった。ROMは0-25゜-35゜であった。約1週間の時点で膝関節亜脱臼があり一時中止となり徒手整復術を行っている。その後初期手術から約8週で再開となっている。この時点で0-25゜-45゜で、isometric、patella mobilization等を行い11週の時点で0-25゜-55゜で、キシロカイン関注にて剥離を2度試みるがROMの変化はなく14週経過している。非常に複合損傷であり、理学療法としてはかなり厳しい状態である。特に損傷の組織に対してほとんど修復術を施行しているため、組織自体は温存しながらの可動域獲得となり、困難である。現状としては、今後行われる予定の授動術に対する準備として、四頭筋の活動性を維持すること、可及的にpatellaのmobilityを出すこと、足関節の可動域を改善することを中心に行い、授動術後は確実な訓練を行い可動域の改善に努めることが重要である。特に授動術後は逆に増悪する場合も考えられるため、注意する必要がある。この症例から我々が学ぶことは、それぞれの組織が単独に損傷した場合に、機能解剖を基礎にどのような訓練を進めて行くべきかを確実にすることと考える。この機会に各自確認しておきたい。また、授動術を経験した先生がほとんどいないことからも、この症例の術後経過報告にて更に勉強していきたい。

 岐阜リハビリテーション病院 理学療法士 林先生より下腿開放骨折の症例報告がなされた。受傷翌日に脛骨をプレートにて固定し、術後3週で理学療法開始となった。腫脹がかなり強く、足趾の動きにも制限がみられ、背屈−5゜(−10゜)であったが、足趾の十分な等尺性収縮とローラーを使った足関節の底背屈自動介助運動を行うことで訓練開始43日にて背屈20゜となった。下腿損傷の症例では足関節や足趾の機能障害が出ることが多いため、十分に注意を払い確実なmuscle glidingを維持しておくことが重要であり、特に足趾の運動を十分に行い、癒着を防ぐことが重要である。下腿に限らず骨折後はより深層の筋の癒着を如何に防ぐかが重要であり、そのための知識も必要である。早期からこのような考えの下に訓練を行うことで良好な成績が残せることを示した症例であった。
(文責:国立名古屋病院 岸田)