第46回整形外科リハビリテ−ション研究会報告
1995.12.16 於:国立名古屋病院

 今回のlecutureは肩関節における安定化機構ということで前半をその基礎として桑名市民病院の松本先生に、後半を実技を含めて平成医療専門学院の林先生に御願いした。肩関節、特に臼蓋上腕関節は(G-Hj)臼蓋に対し上腕骨頭の関節面が2〜3倍あり骨的安定化は非常に乏しい。そのために動的安定化機構をなすrotater cuffの働き、静的安定化機構としての関節唇、関節包、靱帯の働きが重要となる。基礎については、G-Hjにしぼり静的安定化機構を、骨形態、靱帯、関節包の機能解剖から説明を加えて頂いた。骨頭は約135度の頸対角、約20度の後捻角を持ち、肩甲骨は前額面で約30度の傾きがあって、臼蓋は肩甲面に対して垂直に存在する。これは理解しやすいが、骨頭と臼蓋の位置関係を肢位を問わず、三次元的に捉えることになると非常に難しい。これに関節包、靱帯の走行が加わるとさらにイメ−ジしにくくなる。しかし、これができないと効率よい治療につながらないことになり、地味ではあるが常に機能解剖に戻り考える習慣をつけていくことが大切である。後半は、関節包の解剖学的特徴として上腕骨長軸に対し40〜45度の傾きを持って付着していることから、下垂位では関節包の上方が緊張し、下方が弛緩、40度前後で最も安定した状態となり、さらに外転すると上方が弛緩し下方が緊張すること、また内旋では後方が、外旋では前方が緊張することになるためこれらを組み合わせて考えることで、どこに拘縮の原因があるか鑑別できるという説明、そのためには1st、2nd、3ndとpositionを変えて評価する必要があることが概説された。実技ではグル−プに分かれてそれぞれが拘縮を想定し、mobirizationを行って変化をみたが、効果を出すのは難しく、治療技術の側面と機能解剖を三次元的に捉えて応用するという側面の必要性を感じることができたのではないかと思う。
 碧南市民病院の浅野先生より肩鎖関節脱臼、烏口突起基部骨折の症例が呈示された。症例は64歳男性、11月20日に自転車に乗っているところを自動車にはねられて受傷、11/27OP(C-Aj:Wolter clavicular plate、coracoid:cancellers screw)、4日後の12/1より理学療法を開始している。検討課題として、受傷機転と理学療法の進め方が挙がったが時間の都合上、後者について中心に検討した。意見として、術後4日ということで烏口突起に如何にストレスをかけず可動域を維持するかというところでは一致した内容になった。実際としては、烏口突起にストレスをかけず、G-Hjを維持する目的でscapulaを固定してのstooping-ex、負荷に注意しながらのrotation、肘関節の可動域維持などが挙げられた。しかし、ストレスのかけ方、負荷量をどう考えていくかが難しいところであり、治療の工夫が大切になる。烏口突起に付く烏口上腕靱帯(C-Hj)は基部に付き、この場合骨折側にあるのか残っているのかという問題が生じる。骨折側にあるとすると付着筋同様にC-Hjへのストレス、言い換えればscapulaを固定した状態であっても骨頭の動きに注意していく必要性が生じるし、基部に残っているとすれば、scapulaが動くことでのC-Cメカニズムを介してのストレスを中心に考えていいかもしれない。そう考えると、外旋にしても早期の0度以上でscapulaが動いてくる角度では注意がいるし、過剰なストレスは怖くなる。また、肩鎖関節はplateで固定され、Drからの情報では固定のままで140〜150度挙上可能な症例もあったとのここであるが、ここへのストレスの時期も難しく、烏口突起の固定性と同じく、Drからの情報は必須で、得られた情報と機能解剖をもとにした考察、患者の反応を加味しながら治療にあたりたい。ここではふれなかった筋の影響は、骨折部、損傷部へのストレスを考える上では欠かせないことは言うまでもなく、烏口腕筋、上腕二頭筋短頭、小胸筋などは特に過剰な収縮にならないよう動きの中で確認していくことが必要である。 (文責:国立名古屋病院 中川)