第47回整形外科リハビリテーション研究会報告
於:1996.1.20 国立名古屋病院

今回のLectureは、「膝関節の機能解剖−後方支持機構−」と題して前半の基礎分野を城山病院の山本先生に、後半の臨床・応用分野を碧南市民病院の浅野先生にお願いした。基磯分野では、骨の形態から特にcapsu1eの付着部を詳細に説明された。更に安定機構でも特に後方の支持機構に関与するものとしてのmusc1e、lig、meniscusの説明がなされた。特に後方のCapsu1eは特に屈曲と共に弛緩し、impingementの要因となる。同様にmeniscusも屈曲と共に後方へ移動するが、この障害がまたimpingementの要因となる。これらを防ぐのが後方の連絡線維を持つmuscleであり、特にsemimenbranosus、Pop1iteusである事。後方支持機構としての斜膝窩靭帯、後半月大腿靭帯、弓状靭帯の走行、機能にっいて等も含めた墓磯的知識の確認が行われた。詳細な解剖であるが、機能としてはなかなか理解しきれていない内容であり、再認識できた。後半は半月板を誘導する組織について確認がなされ、膝屈曲時の膝窩部痛に対する治療としてmild−resistive exが紹介された。また膝関節の運動学に関連して、交差4棒連結モデルを使用し実際の関節の動きを再現し、如何に関節運動の誘導が難しいかを実感させられた。同時にMCL、LCL、ACL、PCLがそれぞれどのように関節運動に関与するのかをモデルにて確認し、その重要性を再確認した。これらの知識を十分に理解し整理する事が今後の治療に反映されると思われる。

 市立伊勢総合病院 長縄先生より膝関節授動術後の症例が呈示された。この症例は11月の研究会の時に呈示された症例であり、その続報である。研究会の後治療を継続したが、改善が困難な為に、鏡視下での授動術が施行された。その結果術中ROMは0−15゜−115゜で、硬膜外麻酔下にて術後よりCPMが4時間ごとに施行された。同時にbedsideでの治療も行われレジュメのような経過をたどった。最終的には術中角度までは屈曲できている為良好といえるが、長いspanで考えるとまだ屈曲していく可能性はある為可及的にfollowできると今後の参考になると思われる。今回は会員の中ではあまり経験されていない授動術後の治療について検討されたが、やはり疼痛との葛藤の中で確実に屈曲角度を維持し、再癒着を防止して行く事が重要であり、そのためには確実な知識とDrとのコミニュケーションが必要である。願わくぱ授動術を行う事なく通常の治療にてROMが獲得できる事が最良ではあるが、行わざるをえない症例については確実な治療が出来る様にして行きたいものである。

 中濃病院 堀先生より右脛骨高原骨折の症例が呈示された。gypsは術後4週でカットされているものの、過去に他の症例で治療経過中に関節面が沈下した経験がある事から積極的なROM−Exは行えず、active中心の治療を行っていた。7週の時点でPWB開始となり、ROM−Exの許可が出たため、今後どのようにして治療を進めて行くべきかが検討された。現在7週の時点でのROMは0゜−0−70゜、lag10゜であり、足関節の背屈制限も見られている。表面から見てedemaは軽減したが皮膚に光沢が見られている事からも循環状態は不良と考えられる。挙げられたのはpatellaのmobilityを出す事、quadやretinaculum等のextensor mechanismの柔軟性を出して行く事、ank1eから考えてgastrocnemiusのisometric等を行って行くと言う意見が出された。一般的にはこのtibia1 p1ateau fractureは関節内骨折である為に成績が不良となる場合があるが、可及的に改善を目指した治療を行う必要があり、骨性の制限はほとんどない事からも軟部組織に対する治療を確実に行う事が重要となる。今後の治療に期待し、報告を待ちたい。

 岐阜リハビリテーション病院 小野先生より実際に経験した頚骨高原骨折患者の治療成績が報告された。Extensor mechanismとそれに伴うpate11aの位置、半月板の移動とそれに伴う後方筋群の収縮にっいて理論的に説明され、それに基づいて治療を行った結果が報告された。結果はほぼ術後7週でfu11 rangeとなっており、たとえ関節内骨折とは言っても理論的背景に基づいた治療を行う事で優秀な成績が残せる事が示された。勿論骨折の程度によっては困難な症例もあるとは思われるが、この報告は少なくとも治療を進めて行く上での指標になると思われる。関節内骨折の治療の原則は、解剖学的整復、強固な固定、早期運動療法であり、これらを確実に遂行しかつその治療の背景には確実な理論的背景が必須と言える。これらの条件が揃った時に良好な成績が残せると考えられる。今回の報告を目標にし、良好な成績が残せるよう努力して行きたいものである。
(文責:国立名古屋病院 岸田)