第48回整形外科リハビリテーション研究会報告

於:1996.2.25 国立名古屋病院 第1会議室

 今回は「Rotator interval周辺の機能解剖とその臨床」と題して大垣市民病院整形外科医師 杉本 勝正先生に講演をお願いした。内容は、先生が論文で多く発表されているC-H lig、rotater interval周辺を中心に、詳細な解剖、組織学の説明がスライドにて剖検写真を交え行われた。特に、C-H ligは当研究会においても肩関節の理学療法を考える上で常に話題となるところであり、実際その解剖を剖検写真やシェーマを通して説明いただいたことで、その重要性を再確認することができた。C-H ligは、滑液包で囲まれた神経線維に富む脆弱な組織であり、それ故に容易に炎症が波及しやすく瘢痕化するのも早い。言い換えれば術後ではここの柔軟性を維持することが重要になるし、拘縮肩においても長期になれば瘢痕化している可能性があり理学療法の一つのポイントとなる。また治療する上では、知覚神経が多いということは、触診の確認にもなるが、痛みを拾いやすいことにもなり、あまり強い刺激はmuscle guardingにつながる可能性を含んでいる。さらに治療のところで述べられたように、発症からの期間、その間の治療、DM等の合併症も考慮しておく必要がある。炎症期であればPTは刺激を控え、医師による投薬、SAB、C-H ligに対するステロイド、アルツ等の注射が選択されるべきであろうし、その時期にあった治療を医師と密に相談して選択することが不可欠になる。またPTにも、こうした病態を診断できる目が養われることが望まれる。
 今回の講演を是非生かして臨床にあたりたい。
(文責:国立名古屋病院 中川)

 碧南市民病院 浅野先生より左肘粉砕骨折、橈・尺骨遠位端骨折後の左肩Impingement syndromeの症例が呈示された。現病歴は別紙の通りであるが、当日は実際に患者本人が出席していたため、実際に問診、視診、評価を行いながらの検討となった。今回は肩関節のみを中心に検討した。X-pからわかる事を杉本先生から説明され、A-C jtの亜脱臼が見られ、骨頭が軽度上昇している事から腱板損傷が疑われた。更に実際の診察からmuscleよりもC-H ligやcapsuleの影響が大きいと思われた。またMMTではただの外旋筋力は4レベルであるが、肩甲骨を固定しての外旋筋力は低下している事からrotator cuffの損傷及び筋力低下が示唆された。そのためにscaplo-humeral rhythmが破綻していると考えられた。実際には最大挙上位から外転方向への下制(anterior pathにて挙上し、postero-lateral pathにて下制する)を行う事で通路を形成していくための治療が行われていた。また、cuff-Y exを行いcuffのkraftを向上させる事も行われていた。会員からもcuffのkraft低下、C-H ligの影響、scaplo-humeral rhythmの破綻が挙げられていた。最終的には現在行っている治療を継続する事が重要であると結論した。実際に杉本先生に診断及びその説明、意見を聞く事が出来、更に平成医療専門学院 林先生のPTからの診断も実際に行われ説明がなされた。Dr、PTと違う立場での診断、評価を実際に見る事が出来、何が重要であるかを再認識する事が出来た。今後の治療に活用していきたいものである。
(文責:国立名古屋病院 岸田)