第49回整形外科リハビリテーション研究会報告

於:1996.3.30 国立名古屋病院

 総合上飯田第一病院 理学療法士 西山先生より「足関節の機能解剖―Mortiseと腓骨の動き−」と題してlectureが行われた。足関節を考えていく上では重要な内容である。mortiseについては何度も研究会の中で出てきている用語であり、馴染みのある内容である。詳細は資料を確認してもらうこととして、前方に広く後方に狭い構造をしており、腓骨の動きによってその形態が変化する脛骨と腓骨から成る足関節天蓋(mortise)の凹の中に、これも前方が広く後方が狭い構造をしたtalusの凸が入り込むといった構造をしていることが重要である。足関節固定時にtalusが入っていない状況であると、狭いところに楔を打ち込むこととなるため、ROMの制限が生じ易く、治療に時間を要することとなる。また背屈制限の原因となるものにcapsuleの後方、deltoid lig、内果後方を通過するTP、FDL,FHLが挙げられるが、talusの入っていない底屈位ではこれらの組織が弛緩し、短縮・癒着しやすくなる。capsuleについては後方が緩むことでedema等の拘縮の原因となり得る成分が溜り易くなり、伸縮性の低下が起こり得る。このような特徴を有していることを復習しておく必要がある。腓骨の動きについては、背屈と共に上昇・外旋・外方移動し、逆に底屈時には下降・内旋・内方移動する。これは腓骨の動き(近位・遠位脛腓関節)も足関節運動には重要であるということであり、広い視野で関節運動を見ていく必要性があることを示している。腓骨の動きは付着筋や骨間膜から影響されることも理解しておきたい。これらの基礎を基に平成医療学院 理学療法士 林先生よりより臨床的に「ギプス固定中の足関節拘縮予防についてーギプス固定内反復収縮のススメー」と題してlectureが行われた。内容は資料のように6つの項目に分けて考えられた。内容的には具体的に臨床で先ほどの知識をどう利用するかが示された。ギプス固定肢位に関しては、mortiseの構造と修復反応に伴うscaring予防、capsuleのtension、deltoid ligの観点から中間位〜軽度屈曲位にて固定してもらうように依頼すること、固定中の腓骨の動きの維持に関しては付着筋の収縮による腓骨の弾力性の維持をすること、capsuleの柔軟性・弾力性の維持に関しては前方に連絡しているTA、後方に連絡しているTP、FHLの収縮にて維持すること、骨間膜の弾力性の維持に関しては付着筋のTP,TA,EHLの収縮にて維持すること、その際extrinsicとintrinsicを確実に分けてextrinsicが確実に収縮させるようにMTP jtを伸展させてIP jtの屈曲が確実に出るように注意すること等が挙げられた。言葉で単に収縮させるといってもその筋が確実に収縮させているかを確認したり、拘縮の原因をあらかじめ予想してそこに対するアプローチをギプスの上から間接的に確実に行うなど実際の臨床場面では上手く行えないことも多々あるため、理論を確実にすると共に臨床場面での応用を確実なものにしていきたいものである。

 碧南市民病院 理学療法士 寺下先生より54歳女性の左上腕骨顆部骨折、右膝蓋骨骨折、右大腿骨頚部骨折、右第3・4肋骨骨折の症例が提示された。詳細は資料を参照の事。今回はROM制限の強い肘関節に絞って討論された。浮腫については適切に治療されており、ほとんど軽減しているが伸展角度の改善の割に屈曲角度に改善が見られない。X-p上では骨転移が強く直視下にて可及的に整復はなされているが、alignment的には前方45°ある上腕骨長軸と顆部との成す角がほぼ0°になっており、更に内反変形も起こしている。討論の結果、原因はMCLのPOLの癒着・瘢痕化によるものとの意見であった。治療に際してalignment異常に伴いcarrying angleも含め正常な動きではないと予測されるため、滑車切痕と尺骨との通路でよりスムーズな方向を考慮する必要性が説かれた。骨折の状況からは非常にsevereな症例であるが、その状況にて最大限考えられることを行う必要がある。特に今回のようにbone alignmentに異常が生じた場合、関節運動の誘導方法を考慮した治療が要求されるため、常にtractionの方向やassistの方向に気を付けていく必要性を確認できた。alignmentから完全な改善は困難とは思われるが、可及的に治療された結果を報告してもらいたい。
(文責:国立名古屋病院 岸田)