第51回整形外科リハピリテーション研究会報告
於:1996.5.18 国立名古屋病院

今回は「肘関節の機能解剖」をテーマにしてlectureが行われた。墓礎的内客を並木病院 鈴木先生が、臨床への応用と実際の実技指導を平成医療学院 林先生が行った。内答としては、特に前腕の回内外運動について行われた。橈骨・尺骨の骨形態学的特徴である生理的彎曲の意義・役割、近位及び遠位橈尺関節こおける形態と、それを機能的に制御する靭帯の機能解剖、骨間膜、筋の走行と機能について説明がなされた。回外制限については、特に骨間膜が重要であり、しかし徒手的には改善させる事が非常に困難な組織であるため、予防が特に重要であるとの説明があった。casting中では骨間膜に起始を持つ筋である深指屈筋、長母指屈筋の活動を十分に出しておく事で骨間膜を伸長して置く事が重要との事であつた。回内運動に於いては外側側副靭帯(特に輸状靭帯)の制御と制限因子の考え方が説明された。その際の橈骨頭の楕円形の形状と骨運動学的に回内に伴い橈骨頭は後外側へ移動し、その運動を外側側副靭帯が制御している事が説明された。回内運動制限ではこの外側側副靭帯の癒着・伸張性低下からくる橈骨頭の骨運動制限が見られる事が多いとの事であった。実際の実技でも回内運動に合わせて橈骨頭を後外側に誘導するようなmobiilization tecniqueを行った。肩関節などに比べると変化が出しやすく、実際に行った会員の中の多くが実際の変化を感じ取れたのではないだろうか。肘関節のROM制限についても、評価を十分に行う事が必要であり、隣接する肩関飾、手関節の街度変化による影響、肘関節屈傭角度の変化に伴う回内外運動の変化等を十分に評価していく事が重要である。肘は異所性骨化など外力に対して敏感な部位であり、闇雲なROM訓練ではなく、評価に墓づいた治療を行って行けるよう心がけたい。

 市立伊勢総含病院 長縄先生より24歳女性のスノーボードによる左上腕骨顆部骨折・術後橈骨神経麻痺の症例が呈示された。X−P上では顆部の4part骨折であり、上腕骨滑車等の遠位部が後方転位を起こしており、alignment異常が見られた。手術後のX-p上でもややalignment異常が残存しており、上腕骨と顆部との成す街度が通常の45゜ではなく、35〜40゜と少し少なくなっていた。術中の角度は屈曲で120゜であった。術後cast固定を行わず、シーネのみとし、術後1週半でリハを開始した時点ではシーネを除去していたという事からも術中の固定性は良好であったと思われた。リハ開始のROMが0−35゜−90゜であったものが術後11週の時点で0゜−0−115゜となった。主に屈曲制限にっいて討諭したが、原因としては骨alignment異常、後方capsule・MCLの癒着・短縮が挙げられ、伸展については初期の炎症が屈曲位であったため、関節内圧の低い関節前方に不純物質が貯留しやすいために起こるbracchialisの短縮、前方capsleの柔軟性低下が挙げられむ原因としてあげられた項目については正しいが、なかなか実際の臨床場面では分かっていても出来ない部分が多い。そういった意味では今回の症例は成績としては非常に優秀であると思われる。今回の訓練内客を理解する事で今後の参考になるところが多いと思われる。訓練内客としては、屈曲位・伸展位共にmaxでのisometric、鈴を使い、確実な到達目標を定めてのactive ROM−ex、Passiveでの持続ストレッチ、セラバンドを使用してのactive assistive ROM−exを行つていた。やはり、肘関節は栄養血管に富み少ない外的刺激にでも反応性が高く、異所性骨化を作りやすいという事でactiveを中心とした訓練内蓉が行われていた。特に鈴を使っての確実なmaxでのROM−exは非常に重要であり、ともすると自主トレにて獲得したROMの最終域まで使用していないケースが多く、効果の持続性にかけたりmuscleの柔軟性の獲得が遅れたりする事が多い。早期から確実な訓練をする事で成績に大きく反映される事が良く理解できた。当然骨a1ignmentによる制限があり、正常可動域に達する事は困難とは思われるが、それも含めたX−p学的評価、理学的評価を権実に行い、治療効果も確認しながらより効率的・有効的な治療が出来るよう工夫した治療を心がけていきたい。(文責:国立名古屋病院 岸田)