第52回整形外科リハビリテ−ション研究会報告

於:1996.6.14 国立名古屋病院

 今回は、指の機能解剖と可動域制限の見方というテ−マで前半を岐阜リハビリテ−ション病院の福吉先生、中尾先生、平野総合病院の篠田先生に、後半を碧南市民病院の浅野先生にお願いした。指の機能解剖では、骨構造、関節包および靱帯の機能解剖、伸展機構、extrinsic muscleとintrinsic muscleを中心に話が進められた。MPjointにおいては、関節の接触面積が小さく、大きな可動性を獲得している反面、そのため関節包や靱帯、掌側板による安定化機構が重要であること、側副靭帯は運動軸より背側に位置するため、屈曲で緊張し、伸展で弛緩すること、IPjointではMPjointに比べ関節の接触面は大きく、側副靭帯は運動軸の掌側に位置する線維が多く屈曲で弛緩し伸展で緊張することが確認された。伸展機構では、模型を使いながら手背腱膜の構成、MP、IPjointの肢位による伸展運動の違いが説明された。また臨床的にも、colles骨折を例に掌屈尺屈位で固定され、extrinsic muscleが働きにくい状況にあるため、intrinsic muscleが優位となりることから、MPjointを背屈させてextrinsic muscleの緊張を高め、IPjointを屈曲させることでextrinsicを早期から効率よく働かせることの必要性も確認できた。手指は、臨床上多く診る施設が少なくイメ−ジしにくいところであるため、こういう機会に少しずつ理解していきたい。可動域制限の見方では、まず指の解剖を書けるようにしようということで、時間をとって図に各筋の走行を書きながら理解を深めることができた。手指の詳細な図を見るとどうしても拒否反応を覚えるが、順を追って整理することで覚えやすくなり、参考になることが多かった。さらに模型を利用し、癒着部位を判断するために、dynamic tenodesis効果の理解、MP、IPjointの肢位の工夫がわかりやすく説明された。時間の都合上、もう一歩臨床的なところまで入れなっかたが、資料の後半に症例も呈示してあるため、機能評価法、可動域制限の特徴と併せて各自確認しておきたい。

 症例検討では、片麻痺患者の非麻痺側肩関節脱臼骨折と有鈎骨鈎骨折の症例が呈示された。肩関節脱臼骨折の症例では、x-p上大結節が剥離していて骨頭が上方にあること、ビデオ上ではouter muscleで引きつけて挙げようとしていることからcuff-ex、G-Hjointの可動性獲得などが必要であるが、その方法を考える上で片麻痺をどう捉えるかが問題となるため検討の中心となった。意見としては、まず片麻痺に対しアプロ−チし、いろんな姿勢での反応を評価し改善できるところは治療することで、肩への治療方法が広がるのではないかというものが多かった。但し、入院期間が短期か、長期かということで片麻痺に対しどこまでアプロ−チできるかが変わってくるため、確認しておく必要性がある。ぜひ治療方法や経過を報告していただきたい。
鈎骨折の症例は、スポ−ツ特にゴルフ、テニス、野球にみられ、症例的には少ないこともあり報告というかたちで紹介していただいた。鈎骨折は、正側のx-pでは診断ができないため、手根管撮影やCT、MRが有用な判断基準となる。治療としては、保存と手術が半々といわれているが、保存では神経麻痺、腱断裂、偽関節などの合併症が多く痛みも長期化することより、骨片の摘出をする方が有効という文献が多く、2〜3ヶ月で復帰できるとされている。この症例の場合、保存にて経過を見ていることから症状の変化、痛みの推移などを今後報告していただきたい。
(文責:国立名古屋病院 中川)