第55回整形外科リハビリテーション研究会報告

1996.10.19(土)於;国立名古屋病院

国立名古屋病院 PT 岸田先生より手指関節の機能解剖ということで主に腱の走行・機能、拘縮の評価、腱損傷後の修復機転についてのlectureがなされた。腱の走行については今までも何度となく復習してきた内容であるが、実際に症例を担当することが少ないため、どうしても忘れがちなことであり、こういった機会に何度も復習することの必要性を感じた。実際に模型を使用して視覚的に手背腱膜のネットワークを復習した。拘縮の評価についても、模型を使用し実際にどの部位が癒着したらどのような症状が起こるのかといったことを確認した。MP、PIP、DIPの各関節のポジションを変化させることで癒着部位を確定していくことが重要であった。特にextrinsicが原因かintrinsicが原因かが混乱してしまいがちであるが、どとらもPIP、DIPに対しては関節軸の背側を通るため同様の機能を示すが、MPに対しては全く逆で、extrinsicは関節軸の背側を、intrinsicは関節軸の掌側を通過しているため、MPのポジションによって全く逆の症状を示すことなどを確認した。損傷後の修復機転については、屈筋腱と伸筋腱の特徴の違いや術後理学療法の違いを確認した。早期理学療法を安全かつ有効に行うためには、詳細な機能解剖、組織の特徴を含めた治療の流れを確実に理解しておく必要性を感じた。

碧南市民病院 PT 浅野先生より手指の機能解剖をより臨床的に実際の症例を通してのlectureがなされた。6つの症例を通して、拘縮発生のメカニズムや実際の治療手技について確認した。拘縮の原因として最も重要なものの一つがedemaである。そのedemaがなぜ拘縮を引き起こすのかということを風船をモデルにして説明された。早期に如何にedemaを軽減させるかが治療成績を左右することは今までの研究会でも散々言われ続けていることであるが、実際に臨床の場面ではなかなかうまくいかないことが多い。常に意識して望むことが必要であると再確認した。症例につていは、デグロービング損傷、屈筋腱再断裂、伸筋腱断裂、RAの伸筋腱断裂に対する機能再建術後、骨折及び屈筋腱・伸筋腱同時損傷、長母子屈筋腱剥離術後の6症例を通してのそれぞれの治療の考え方、ビデオを使っての実際の症例の状態などが説明された。これらの症例を通して実際の理学療法を行う上で考えることが整理できた。早期運動療法が重要であることは誰しもが認めることであるが、動かす時期と安静にする時期、また動かしておくべき部位と固定しておくべき部位を確実に選択し、また確実に実行できるように様々な工夫をし、細心の注意を払って行うことの重要性と難しさを実感した。屈筋腱の再断裂や伸筋腱のgap形成、骨折の変形治癒等をPTがつくってしまう危険性を常にはらんでいることを自覚し、臨床に望むことの重要性を確認した。PTとしてHandの症例を治療することは少ないかもしれないが、Handの考え方はすべての関節に応用できる重要な考え方であり、確実に理解し応用していきたいものである。 (文責:国立名古屋病院 岸田)