第58回整形外科リハヒ゛リテーション研究会報告

1996.1.19 於:国立名古屋病院
 
 今回は股関節疾患の診断と治療と題して前半に国立名古屋病院 岸田より変形性股関節症(以下OA)、後半に碧南市民病院 浅野先生より大腿骨頸部骨折についてそれぞれlectureがなされた。前半は股関節の機能解剖も含めて行われ、形態上の知見や関節適合性等が報告された。特に筋力については、出力の関係が呈示され、伸筋群が屈筋群の2.5倍、内転筋群が外転筋群の1.3倍、外旋群が内旋群の13倍の出力バランスを有することが呈示され、これが後のTrendelenburgやDuchenne歩行に関係してくる可能性を示唆していた。OAに対する評価としてはJOA SCOREが挙げられた。発表論文等ではほとんどの評価はope前・ope後共にこのJOA SCOREで評価されていることが多い。他にはX線診断として変形度分類、Sharp角、CE角が挙げられた。特にPTとして筋力、歩行を考えていく上ではこのshrp角、CE角は重要であり、理解しておきたいものである。治療については臼蓋回転骨切り術(以下RAO)、人工関節全置換術(以下THA)が呈示された。RAOについてはope侵襲が説明され、どの筋をターゲットにしていくかが示された。THAについてもope侵襲による筋のターゲット、荷重時期などが説明された。
 後半の大腿骨頸部骨折では、内側と外側に分けて説明がなされ、内側骨折の分類である、Gardenの分類と外側骨折の分類であるEvansの分類が説明された。それぞれに通常使用される分類であり、概要は理解しておきたい。頸部骨折については内側では機能的修復か解剖学的修復かによって治療が異なり、機能的修復は人工骨頭置換術であり早期にADL獲得に重点が置かれ、それに伴うプログラムが必要となる。一方解剖学的修復ではpinning等の骨接合術が行われることから術者によってばらつきはあるが8〜12週の完全免荷が必要となり、その期間の筋力維持が重要となってくる。外側骨折では多くがCHS、γーnailが使用されるが固定性が良好であれば、さほど怖がることなく3週荷重で早期にADL獲得が可能となる。不安定な場合は荷重時期が少し遅くなる。また筋力についても頸部の短縮が発生する確率が高いため筋出力不全が起こり、破行の原因となる。この場合は筋力増強訓練を行えばよいと言うものでもないために、Drとの意見を総合的に判断し杖使用による破行の防止等を考えていくことも重要であるとのことであった。一般的には内側骨折の方が骨癒合が悪く、難治度が高いイメージがあるが、内側の場合はほとんどが人工骨頭置換術が施行され、早期離床が望めるためにかえって外側よりも良好となる場合が少なくない。また外側骨折の方がより高齢者に発生しやすく、更に骨接合術が多く行われることからもリハとしては注意が必要となってくる。股関節についてはROMで難渋する症例が他の関節に比べて少ないこともあり、なかなか興味が向きにくい部位ではあるが、破行、膝のROMと注意しないと思わぬ制限を来す場合もあり、十分にこれらの内容は理解しより早期のbedsideからのリハを行っていきたいものである。
(文責:国立名古屋病院 岸田)