第60回整形外科リハビリテーション研究会報告
1997.3.15 於:国立名古星病院

 今回は膝関節の靱帯に対する機能解剖と不安定性の病態についてを前半に、靱帯の組織学的知見を後半にlectureとして行った。前半は、MCL、LCL、ACL、PCLの4つに絞って行われた。それぞれのより詳細な解剖、機能解剖が説明された、ACLが関節内、滑膜外で関節包外という定義がなかなかイメージしにくかった。れぞれの靱帯が、安定牲に関与するのみでなく、正常な関飾運動の誘導という重要な働きがあることを再度確認し、靱帯損傍に伴う不安定性及ぴ異常関節運動の出現に関与することが理解できた。不安定性の病態については、誘発テストが説明されたが実際には受症時での検査を行うことが少なく、はっきりとしたイメージがわきにくかった。4つの靱帯損傷において重要な不安定性の考え方としては、回旋不安定性(rotatory instability)をどう提えるかであり、そのために各検査手枝があると理解された、復合靱帯損傷が多いこともあり、この回旋不安定性が理解しにくい面もあるが、重要な所見であるため実際に症例で確認していきたいものである。回旋不安定性については、回旋軸が必ず存在することから回旋軸の部位を追求した研究諭文が紹介され、確認した。後半では碧南市民病院の浅野先生よりACLの人工靱帯及び靱帯のremodellingについての最新諭文からの組織学的展開が説明された。これらは靱帯損傷及び人工靱帯施行症例に対する理学療法の時期に合った方法の選択を考える指標となると考えられた。特に強度については人工靱帯は現在のところ術後約1年以降で健常靱帯比50%までしか再建できないため、靱帯を補強するその他の組織を強化すること、靱帯に対するストレスを極力軽減する方法を指導することが重要であると理解された。人工靱帯の症例を経験した会員が少なく一般的な理学療法の流れも解らなかったため、経験のある2人の先生に対して質疑応答をする事である程度理解できたのではないか。実際に経験することが少ないとは思われるが、スポ−ツ復帰が前提となる選手レベルになればなるほど結果が要求されてくるため、早期復帰とともに靱帯の強度を考慮した時期的配慮を十分に考えていくことの重要性が理解できたのではないか。再発予防も含めて理学療法の重要性が高い疾患でもあるため、実際に経験するときには詳細に検査・治療結果を記録して報告したいものである。

 碧南市民病院 浅野先生からlectureに関連して、ACL断裂にて自家腱移植再建術予定の症例が呈示された。今後の理学療法について検討されたが、経験談からROM制限はさほど感じなく、時期とともに改菩するため筋力、パフォーマンスをいかに獲得していくかが間題のようであった。時期的には当初CPMを行い、brace制限下での筋力増強訓練、足部・膝を指標としての動きの指導を行っていく。荷重は6週以降に全荷重のようである。instabilityについては消失するようであるが、慢性炎症状態を呈する症例があるとのことであった。opeが確実にisometric pointにて行われていればROMの制限は無いようである。以前に比べても術後の関節可動域訓練は早期から行うようになったことが要因と思われる。正座のような十分な伸張性とスポーツに耐え得るだけの強靱な固定性という相反すると思われることが要求される関節であるだけに、opeだけでなく、確実な理学療法が要求される疾恵であるため、十分な知識を碍ていきたい。(文責:国立名古屋病院 岸田)