第62回整形外科リハビリテ-ション研究会報告
1997.5.25(土)於:国立名古屋病院

 今回のテ−マは、肘関節ということで前半を基礎として岐阜リハビリテ−ション病院の上村先生に、後半をその臨床として平成医療専門学院の林先生にお願いした。前半では、肘関節の機能解剖として、骨の形態、靱帯、関節包の走行と機能を整理し、関節面の向き、carrying angleのType、関節包と上腕筋、上腕三頭筋との連結などについて説明がなされた。これらは、臨床において応用できることであり確認しておきたい内容である。これを受けて後半では臨床への応用として、まず3次元にとらえられるように前後左右から見た肘関節を描くことから、関節包、靱帯、筋を書き込み全体像を整理した。次に臨床上、単関節筋(上腕筋、上腕三頭筋内・外側頭)の重要性について説明され、実技として単関節筋の触診、関節操作を行った。肘関節を屈曲伸展すると、全体としてそれらに関与する筋は働くが、受傷した関節では特異的な筋の活動をとりやすく、二関節筋である上腕二頭筋や上腕三頭筋長頭が優位に働き、単関節筋が十分に活動しないことが多い。こうなると前述したように関節包の柔軟性を維持できず、靱帯の滑動にも影響を与える可能性が生じる。そのため臨床では単に肘関節を動かすだけでなく、いかに効率よく単関節筋を働かせるかが必要となり、ここでは肩関節に拘縮がないことがkeyとなる。
 ここででてきた単関節筋と二関節筋の関係は、inner muscleとouter muscleの関係、肘関節と肩関節の関係、さらに体幹、全身の関係として捉えることができ、治療において全体の中の個、個としての全体をいかに考えて治療していくかということが、整形外科に限らず理学療法を考える上での共通した見方になると考える。少しずつでも臨床において、個々を治療できる技術と全体を観る観察力を知識と理論的な考えを持って身につけていきたい。
 症例検討は桑名市民病院の松本先生から左上腕骨骨折、左上腕骨顆上部骨折が提示された。経過は資料に譲り、検討課題は6ヶ月弱経過して屈曲がFullに対し伸展が-20゜であることの原因、効率よい治療の進め方があげられたが、後者は前半のlectureで概ねカバ-できるかため前者について検討された。基本的には良い成績であり、伸展についてはx-p上顆部が前方に多少振って見えるため10〜20゜は仕方ないかとの考えと、もう少し検討するとすれば、いろんなpositionで内外反をみていくことで靱帯、関節包でとりきれていない部位が明確になるということであった。屈伸、回内外の評価に留まらずpositionを変えての内外反の評価をすることが治療対象を絞る上で重要であることが示唆された。
(文責:国立名古屋病院 中川)