第64回整形外科リハビリテーション研究会報告
於:1997.7.26 国立名古屋病院

 今回のlectureは前半に国立名古屋病院 岸田による『肩関節impingement』についての基礎的内容が、後半では平成医療専門学院 林先生による応用・臨床的内容が説明された。基礎的内容としては、先ずimpingementの説明がなされた。subacromialにて起こるimpingementを総称して呼んでおり、原因は種々あり、それら原因を追及し治療することが重要であるとのことであった。多くの場合はsubacromial bursitisからくる肥厚、癒着によるimpingementや、cuff injuryによるものが中心となっているようで、いわゆるoverhead overused shoulderに多く見られる。メカニズムとしてはrotational glide(80゜〜120゜)の時期に大結節がC-A archにぶつかって発生する。診断としては、crepitus(軋轢音)の有無、painful arcの存在、キシロカインテスト陽性等があげられた。分類についてはNeerの分類が有名であり、治療方針を決定するには不十分といわれているが、進行度合いを理解する上では重要な分類である。これらの症状を呈するものとして慢性癒着性肩峰下滑液包炎、腱板断裂、SLAP leasion、上腕二頭筋長頭腱炎が挙げられ、それぞれについて簡単に説明があった。治療についても保存的治療と手術的治療について説明がなされた。後半ではimpingementを理解するために、先ずsubacromialの3次元的解剖を理解するために各方向からのイメージをそれぞれにスケッチした。その上でなにがimpingementの原因となりうるのかを考えるようにした。それらを元に先ず筋力面からimpingementを考察した。cuff ruptureがあればdeltoidとの関係で挙上時に骨頭が上方変位してC-A archにぶつかる。また逆に肩甲骨の動きを制御しているtrapeziusやserratus・rhomboid等のforce coupleの破綻が起こると挙上時のscaplo-humeral rythmeが崩れ、impingementが発生することが説明された。contractureの面から考察すると、capsule・lig等によるcontractureが起こると挙上時の骨頭の下方へのslipが制限され、結果的にimpingementを引き起こすことが説明された。さらにこれらを元にそれぞれの状態を把握するために、実際にデモを行い評価の方法・注意点等を確認した。正確な評価が治療の方向性を示すため、確実な評価ができるようにしていきたいものである。

 平成医療専門学院 3年生 山口君から『腰痛患者に対するFFD改善がアライメントに及ぼす影響』として症例が報告された。診断名は腰痛であり、SLRがbil 65゜、FFD−15cmであり、X-p上下部腰椎の可動性の低下が示唆されていた。この症例に対してhold relaxにてhamstringsの柔軟性を狙っての訓練を行った。その結果、治療開始10日でSLR 90゜、FFD0cmとなり、X-p機能射においても腰椎の可動性の向上が見られた。腰痛の原因の中にこのような腰椎のalignment異常からくるものが多く存在することが示唆された。またherniationに対するlove変法等のope後早期からこのような訓練をすることで、腰椎のalignmentのみならず神経根の可動性を維持・改善するためにも重要な訓練であると思われた。十分な訓練を行うことでほとんどの人がSLR 90゜、FFD0cm以上を、ope後の患者では全ての者が獲得することができると考えて腰痛の治療に取り入れてみたい。当然多くの場合がhamstからくるためにこのような内容になってはいるが、wiliamsとmackenzieに代表されるように腰椎のlordosisの場合とkyphosisの場合があるようなので、hamustのみではなくiliopsoas・rectus等の全体を評価して行う必要があることを記憶しておきたい。

 桑名市民病院 松本先生より75歳女性の腱板断裂後の保存的治療におけるbiceps longhead使用による挙上獲得についての症例報告がなされた。初診時はROM制限は左右差がなかったものの、activeでは挙上が不可能だあった。訓練として、先ず挙上位の保持を行い、その後手を頭部にて這わせることでselfにて肩挙上位を取らせ、その後に肘伸展にて最終挙上位を達成させるようにした。次いで挙上位から外旋位にて下降させるようにし、最終的に外旋での挙上を獲得させた。この間約6週であり、腱板断裂の症例でも理学療法を十分に行うことで、代償運動にて挙上が可能となるということが伺われる。この症例を通して年齢等を考慮して、手術を行うよりも保存で行う事で良好な成績が残せるといった可能性が十分に見えたと思われる。
(文責:国立名古屋病院 岸田)