第65回整形外科リハビリテーション研究会報告
於:1997.9.20 国立名古屋病院

 今回のlectureは足関節に関するもので、前半に国立名古屋病院 岸田が基礎的な機能解剖を行い、後半に碧南市民病院 浅野先生が実際の症例を通しての臨床的な考え方を行った。前半については今までに学習してきた内容を再度復習する内容であった。基本的な考え方は足関節に限らず、靱帯・筋・関節包が関節軸とどのような位置関係になっているのか、それにより制限因子と成り得るかどうかを考察することが述べられた。また関節軸の走行が三次元的にどうなっているのかを確認し、どの方向に誘導することがより生理的で有効なのかを確認した。特に足関節はmortise構造を取っており、狭いところに大きなものが入り込んでいくことで運動が成立するため、脛骨・腓骨の動きについても考慮する必要があることも確認した。後半は足関節脱臼骨折の症例を通して行われた。Lauge-Hansen分類;PER typeであり、整復・脛腓間横止めスクリューを行いcast固定した症例であった。先ずcast中に行えうる理学療法を考えた。基本的にはtoe-ex・isometric・strechによる腱(FHL・FDL)の滑走を維持しておくことが挙げられた。cast off後でスクリュー留置中については、背屈する事で脛腓間が開きスクリューに負荷がかかることを避けるため・またcastが無くなったことによるedema増悪に対する処置のために、スチロールや綿・スポンジ等を利用した骨の凹凸形状に合わせて工夫した圧迫を行い、toe-exを行う事が挙げられた。スクリュー除去後はmobilizationとしてただ単に背屈を行うのではなく、mortiseの運動学を考慮した背屈の方法を実際に行った。前方より距骨を押し下げながら、いわゆるmortiseの中に距骨を入れ込むようにして背屈を行うことが挙げられた。また、wipe-exと名付けて、雑巾もしくは滑車の付いた板に足を乗せ足関節軸方向に斜めにactiveに膝屈伸を行わせることで足関節運動を行わせる方法が挙げられた。この症例のように脛腓間が開離している症例では背屈及び加重にて開離方向のストレスが加わることを考慮する必要がある。特に横止めスクリューがある状態で加重をするとスクリューが折損するという論文が発表されていることからも足関節運動にて発生する脛腓間の開離はイメージよりもあると思われる。またこの症例では背屈方向はより生理的に背屈外反方向に行っていたが、別の症例で腓骨に対してtension band wiring法を行った症例が呈示されたが、この場合は逆となる。外反をさせると骨折線に対して離開方向のストレスが働くと考えられるが、内反ではtension band wiringが有効に働き骨折部を安定させると考えられる。このため内反位での背屈を行う法が安全と考えられるとのことであった。ope内容についても十分に理解して行う必要性を再確認できた。

 岐阜リハビリテーション病院 小野先生より21歳男性の右肩関節脱臼骨折(大結節剥離骨折)の症例が呈示された。H9.8.3にバイク事故にて受傷。腱板損傷はなかった。詳細はレジュメに譲るが、受傷後三角巾+バストバンド固定を3W行い、その後リハ開始しており、初期にてG-H;45゜・shoulder flex;90゜であった。内容としてはscapula固定してのcodman-ex(上肢を両下肢の間にして行う。)・cuff-y ex・scapula固定筋の強化を行った。最終的にG-H;80゜・shoulder;130゜となった。当日は患者がPTSであったため本人を実際に評価しながらの検討となった。ROM制限については、MRIしかなかったため、G-H内の骨片の有無がリスクに挙げられるためそのまま行うことは危険であるとの指摘があったが、一応その可能性は無いとのことで進めた(MRIでは3mm以下の骨片等は写らないとされており、単純X-p等で確認する必要がある)。G-Hについては検討の結果、脱臼を考慮してcapsuleの前方及び下方が挙げられたが、平成医療専門学院の林先生より最近の肩関節学会ではRotator Interval・capsule下方が殆どいわれているとの指摘があった(麻酔下でmanipulationを行うとこの2カ所の出血が殆どという見解から)。この症例でも、評価をすると、3rd>1ST>2ndの順で2ndが一番制限が強いことから、casuleの前下方が考えられた。また、3rdに近い状態で骨頭を後方に押すと上肢が内旋してくることからC-H ligによる制限が考えられた。林先生に評価及び治療を実演してもらい、確認した。C-H ligの触診など慣れないとなかなか解りにくいので、実際の解剖を確認し、患者にて何度も触診していく必要があると思われた。実際に症例を見ながらの検討であったため、解りやすく非常に良い経験ができた。
(文責:国立名古屋病院 岸田)