第66回整形外科リハビリテーション研究会報告
於:1997.10.18 国立名古屋病院

 今回は肩関節周囲炎を中心としてlectureが行われた。そのための基礎的内容として解剖及び機能解剖、炎症の波及について岐阜リハビリテーション病院 田中先生にお願いした。先ずは肩関節を解剖学的関節と機能学的関節とに分類し、それぞれの特長が説明された。拘縮の原因としては第2肩関節と密接に関連して臼蓋上腕関節が最重要ポイントであると考えられた。また、烏口突起周辺の解剖としてはC-C mechanismやC-A archの機能解剖、rotator interval・上腕二頭筋長頭腱の滑走機構、その他肩関節周囲の滑液包の説明、特に肩峰下滑液包の機能及び炎症の波及について説明があり、さらに圧痛部位、肩関節周囲炎の解剖学的・組織学的変化、五十肩の発症メカニズムが説明された。肩関節障害として、肩峰下滑液包炎・上腕二頭筋長頭腱炎・烏口突起周囲炎・腱板炎・いわゆる五十肩・石灰沈着性腱板炎・上腕三頭筋長頭腱炎をあげ、説明がなされた。組織学的変化としては、関節包の癒着・短縮、烏口上腕靱帯・rotator intevalの瘢痕化について、肩関節の可動域制限に対する治療をしていく上で重要な内容であり、十分に理解しておく必要を感じた。
 後半は実際の肩関節周囲炎に対する治療について、平成医療専門学院 林先生にお願いした。肩関節周囲炎というのは病態を表していないため、正確に診断が必要になる。何が原因なのかを突き止める必要があることが強調された。疼痛というのは不安定な部位に発生し、安定(効率的に無駄なく動いていることもしくは動いていないこと)した部位には発生しないという概念が説明された。拘縮肩においては短縮・癒着しているところに疼痛が発生し、さらにそれが筋の攣縮を呼び、再び疼痛を発生させるという悪循環が形成される。それを理解して上で、肩関節がどのようになっているのかを評価し、原因を追及するとともに正確な治療が求められる。しかし、疼痛が発生している部位については、必ずしもその部位に問題があるとは限らず、関連通も視野に入れておく必要性が説明された。また、関節包にて発生した疼痛刺激が脊髄レベルで交感神経に伝達され、そのレベルの血管を収縮させる働きも説明された。悪循環の一つのloopである。また、関節包内の炎症反応が特にinner muscleに持続的な筋収縮を発生させることについても説明がなされた。このように疼痛をとっても複雑に絡み合って一つの病態を形成しており、評価においてもこれらを十分に考慮する必要があることを痛感した。また前回も報告したが、肩関節拘縮の原因の部位としてはrotator interval・capsular ligの下方部であると言われているが、そこに至るまでには、筋の攣縮を除去するなどの操作が必要になり、ただ闇雲に原因部位に対して治療をしてもダイレクトに治療効果が期待できるとは限らない。そのためにもtotalな評価が必要である。これらについては特にC-H ligについて触診できるように実際に実技を行い、それぞれに確認した。すぐに治療に生かせるかどうかは別にして、上述した内容について再確認し、常に臨床で確認しながら確実に習得していきたいものである。(文責:国立名古屋病院 岸田)