第68回整形外科リハビリテーション研究会報告
於:1998.1.17 国立名古屋病院

 今回のlectureは膝関節外側支持機構について行われた。前半は国立名古屋病院 岸田が解剖学的内容について説明した。外側支持機構として、動的要素が大腿二頭筋、膝窩筋腱、腓腹筋外側頭、ITT、静的要素LCL、外側関節包、postero-lateral conerと呼ばれる弓状靭帯、Fabello-Fiblar lig(FFL)、Popliteo-Fiblar fiber(PFF)などが挙げられた。LCLは膝関節内外反中間位では伸展から屈曲位で緊張するにすぎないが、いったん内反ストレスが加わると関節包や大腿二頭筋腱がその外反変位を抑え、大腿側付着部が回転して前方線維の緊張性が高まることより、ほぼ全可動域を通じて関節の内反を制御していると説明された。特にfabelaについては、後方にあるpatellaと考えられ、付着する靱帯・腱の力の集約点になっているとのことであった。fabelaの存在は、文献的にnormal varientで約20%と言われているとのことであった。今回は特にFabelo-Fiblar ligについて更に後半で平成医療専門学院 林先生より説明が加えられた。後半はcase stadyとしてACL損傷に対する再建術後の患者で、歩行時に腓骨神経領域に放散痛と、posterior conarの疼痛があった。評価の結果、knee in・下腿のER方向のdynamic instabilityがあったことから、ITT・biceps・VMを考えて治療を行った。しかし、tinel sign(−)、biceps relaxationにて疼痛の変化(−)、ITT stretchにて疼痛の変化(−)、dynamic instability(++)であった。原因不明のまま経過観察され、その後、fabero-fiblar ligにcompression pain発見し、streching施行した結果、著名な疼痛の軽減が図れたとのことであった。この症例を通して膝後外側の疼痛に対する考え方として、このfabero-fiblar ligの存在を考慮に入れた評価及び治療を行う必要性が示唆された。また、実際に参加者で確認しながら触診も行い、実際に表層に存在するfabero-fiblar ligを確認した。後外側の痛みに対する評価を行う際には、是非確認したい項目である。

 岐阜リハビリテーション病院 佐伯先生より57際男性の両下腿粉砕骨折・右踵骨骨折の症例が呈示された。交通事故にて受傷し、1w後に両側足関節から大腿までcasting、その後約4wでリハ開始となっている。約5wで右のみcast off(下腿のみcasting)、膝屈曲95゜、約8wで左cast off(下腿のみcasting)、この時点で屈曲 右125゜、左15゜であった。9wで左に対しkuntscher nail施行。同時に膝関節受動術も施行した(術中は110゜屈曲)。約12wで左に対してfunctional brace装着し、発表時点で右屈曲140゜、左45゜であった。この症例に対して今後の治療を検討した。X-pにて骨癒合が不十分であり、骨折自体も複雑なものであった。今後については結局可及的な治療しかなく、伸展機構の柔軟性を極力だしていくに留まった。今回の症例では、Drサイドでの治療方針に一貫性が無く、何を優先的に行うかが曖昧になっている。castingするのであれば、骨癒合を優先的に考慮するべきで、回旋不安定性があると言いながら下腿castにしたり、kuntscher nailにて固定し、同時に受動術を行ったにもかかわらず、ROM訓練を禁忌としたり、また長期間必要と思われるにもかかわらず、荷重側に対する配慮が見られない等一貫性が感じられない。現時点では致し方のないことであるため、我々も如何に受傷時から、もしくはope決定時から関わることが出来るかが大きなポイントとなる。しかし、そのためにはこちらも相当な知識が必要になることは言うまでもなく、責任ある意見が求められる。こういった症例に対峙すると、痛感することであるが、今後のリハビリテーションの存在価値・positionを考えさせられた症例である。
(文責:国立名古屋病院 岸田)