第69回整形外科リハビリテーション研究会報告
於:1998.2.21 国立名古屋病院

 今回のlectureは前半に桑名市民病院 松本先生にforce Coupleについて基礎的な部分を、後半では碧南市民病院 浅野先生より具体的に症例を通しての説明がなされた。まず前半では骨格の絵の上に実際に各運動別に関与する筋について、起始停止部を確認するとともに書き込み確認した。関節運動に対してどのような働きをするかを、三次元的に確認することができた。後半ではforce coupleの内容が説明された後で、実際に症例報告を行い説明された。症例は69歳 男性の頸部脂肪腫摘出後の副神経単独麻痺による右僧帽筋機能不全の症例であった。この症例ではscapulaを介助しなければ150゜が挙上限界であり、scapulaを介助することで170゜まで可能であった。またMMTでは2nd positionでのERでは僧帽筋の影響が少なかった。更に、supineでscapulaの固定要素が入ると左右差が指摘できなくなった。逆に1st positionでのERが左右差としてはもっとも大きかった。これにより特に1st positionでのscapula固定に大きく関与すると考えられた。評価をする際には上記事項を考慮する必要があることが指摘された。Force coupleについては、単にその筋出力が低下するということに止まらず、それにより制限されるscapulaの回旋を中心とした機能障害が大きいということを理解しておきたい。

 国立名古屋病院 岸田より交通事故により受傷した両膝蓋骨骨折の症例が呈示された。特に左の方が偽関節を生じ今回で3回のopeを行っており、ROMも不十分であった。X-pより、初回のopeはdouble wiring法が施行されていたが、十分な固定力がないまま訓練が行われており、偽関節が生じたと考えられた。その後再ope施行するも固定性不良・骨癒合不良にて、再度骨移植を行ってのzug法が施行された。現在、ROMが60゜程であり、外来にてfollowしている。Drからは積極的なROM治療を指示されているが、X-pの状況・移植骨に対する負荷の増大から不安があり積極的には行っていない。この症例に対して今後どの様な治療をしていくべきかを検討した。結論としては、X-p・Drのope所見を元に十分に意見交換をして治療を進めるべきであるとの意見であった。Zug法は元来屈曲をしていくことで安定性が増す方法であり、積極的に屈曲させることは問題ないが、固定性・骨移植の有無等を考慮して安易に屈曲を行うのではなく、十分な意見交換の下行う必要性を再確認できた。Zug法に限らず全ての基本であるため、今後のより早期の治療を行う上でも重要な事項であるため、再度確認しておきたい。
(文責:国立名古屋病院 岸田)