第70回整形外科リハビリテーション研究会報告
於:1998.3.28国立名古屋病院

 今回のlectureは平成医療学院 林先生による肘関節MCLの解剖・機能解剖・治療と一貫した講演形式で行われた。まず前半はMCLの解剖学的説明がなされた。これについては本研究会にて繰り返し確認してきたことであり、基本的内容のため確実に認識することが重要であり、認識しないと治療に結びつかないため、各会員で十分に再度確認してもらいたい。文献についても慶応大学によるMCL研究についての論文が配布されたため、熟読してもらいたい。後半は実際に実技として@brachialis単独の収縮方法Atricepsの収縮方法BMCLのfriction方法が行われた。@についてはbiceps優位となりやすいため、よりbicepsを弛緩させるために、shoulder flexし更にreciprocal innervationを使い肘屈曲と共に前腕の回内を同時に行わせるというものであり、よりbicepsの活動を抑制しようとする工夫である。Aについては、tricepsの深層が内側頭であり、その上に外側頭と長頭があるということを認識した上で、内側頭・外側頭と単関節筋の活動を十分に出すべく、shoulder extにてそれぞれに合わせて肘を内反・外反にとして収縮をさせるというものであった。Bについては、上腕骨内側上顆もしくはolecranonの付近でfrictionするようにし、近くを走行しているulnar narveを刺激しないよう注意して行うことが説明された。まずは靱帯そのものを感じることから始め、実際の治療に応用していけるようにしていきたい。肘関節については、異所性骨化をはじめとして関節拘縮に陥ることが間々ある関節であるが、十分な知識と理論的背景を伴った適切な治療を行うことで、そのイメージは変革できていくものと考える。意識していきたいものである。

 名古屋掖済会病院 坂野先生より48歳男性の右大腿骨顆部・顆上部開放骨折(AO typeC-1・Gustilo-V a)・左橈骨頭骨折の症例呈示があった。経過としては、作業中荷台より転落して受傷。同日debretmentし、骨接合施行された。しかし、4日後転位を認め、イメージ下でrepoし、足部までのcylinder castにて固定。その後patella部分が開窓されていたため、mobilization及びsettingを施行した。約8週後に顆上部の骨折に対してplate固定が行われた。同時にmanipulation施行し、約110゜であった。その後リハ再開し、その時点でROM0-15゜-70゜であった。治療としては、ultrasonic・徒手的なROM訓練・setting(中周波を併用)・CPM・牽引器によるtractionを施行した。結果的にROM0゜-0-130゜、lag25゜、kraft4というところまできていた。検討としては、経過に沿っての治療内容が適切であったか、それ以外の方法論がなかったか、今後の治療の方法論であった。先ず施行されていた治療内容については、結果からしても最適な方法であったという意見であったが、可能性としては最初のopeでpatellaが開窓されていた時点で、再opeがわかっていたのであれば骨癒合よりも積極的に軟部組織に対する治療を行っても良かったかもしれないとの意見があった。今回の症例については、適切な治療が行われた結果、良好な成績が出ているため、方法論としては十分であったと思われた。逆に初期から十分な考慮の下に行えばこのような複雑骨折の症例についても、良好な成績が出せるという指標になったと思われる。今後については、骨折の部位からしてpoutch・vastusの癒着が考えられたが、それと同様に二回目のope侵襲(前外側アプローチ)による癒着・瘢痕化が原因になっている可能性があるため、外側も同様に狙っていく必要性が指摘された。非常に良好な成績であり、今後もまだ改善していく可能性があるため、これを参考により早期の治療を十分に行う必要性を再確認していきたい。            (文責:国立名古屋病院 岸田)