第72回整形外科リハビリテーション研究会報告
於:1998.5.16 国立名古屋病院

 今回は腱断裂をテーマにlectureが行われた。前半は国立名古屋病院 岸田が腱の修復過程・アキレス腱断裂の発生機序・治療法について総論的な話がなされた。治癒過程についてはアキレス腱に特記したものではなく、手の外科での特に屈筋腱を中心とした情報を文献的に説明された。発生機序については年齢・受傷機転について説明がなされた。診断についても触れており、Tompsonテスト・deleについて説明がなされた。診断については、実際に救急で診るわけではないので、再断裂等の診断時に役立つと思われる。治療については、整形外科的なことが中心で、直視下縫合法・経皮的縫合法、及び保存寮法について説明がなされた。それぞれについて長所・短所を挙げ、それに関わる理学療法についても説明された。ROM制限が発生することは少ないということもあり、背屈を早期に獲得することも勿諭ではあるが、逆に過度の刺激はelongationの可能性があることに留意して治療を行っていくことも必要であるとの説明があった。特に早期から関わっていく場合には重要な要素である。後半は碧南市民病院 浅野先生によりアキレス腱断裂の理学療法と題して行われた。先ずはアキレス腱部分の水平断面図における各組織の位置関係を確認した。その後各治療法別の理学療法プログラムが紹介された。特に理学療法で重要な内容として、隣同士の腱の癒着防止と縫合部の安静である。特に腱の断端部の安静を保つことについては、抗張力と腱にかかる張力との関係から説明がなされた。張力が抗張力を越えると再断裂する。そういった観点から保存療法及び早期荷重に関して検証した。筋電図学的に見た緒果、底屈30゜にて計測するとgastroは強く活動した(内側>外側)。その状態でヒールを履かせると筋放電はほとんど見られなくなる。このことからも早期からの荷重及び保存療法については、肢位を考慮すればさほど危険性はないということが説明された。アキレス腱断裂はさほど機能障害が残存することが少ないことや、保存療法を外来にて施行するケースもあることからリハが関与しない場合があり、経験されたことのない先生も多いように思われた。今回も先月同様早期にROMを獲得する事ばかりに気を取られることなく、腱の断端部の強度にも十分に注意して行うことを理解しておく必要がある。

 碧南市民病院 加藤先生から42歳男性のアキレス腱断裂の症例が呈示された。剣道中に受傷し、直視下縫合法(Tsuge法)を施行し、B/K castingにてent、ope後4Wにてcast offしリハ開始。−20゜から始まり、1Wで0゜までいったが、その時点で転びそうになり足をつき、疼痛及び腫脹が見られた。この時点でgapができたと判断された。その後のリハで15゜まできていた。DFをpassiveで行う時期及び足をついた後でのプログラム変更の必要性について検討された。その緒果、passiveの時期については、passiveという概念の問題で、足関節の訓練でよく行うwipe ex(雑巾掛け)についても関節から見ればpassiveであり、その意味では早期から行って良いと考えられる。activeでのDFであれば良いと考えるのが通常であり、その意味では早期から良いということになる。この場合、余分な筋収縮を起こすことによるisometricの状態を作らないようにしていくことが重要と考えられた。筋収縮はアキレス腱にストレスを加えないようにFHL・FDL・TPについて行い、アキレス腱との癒着を防止することが重要であるとのことであった。逆にROM制限が軽度の場合は積極的な訓練は避け、アキレス腱にはストレスをかけないようにする配慮も必要となってくるとのことであった。今回の場合は、途中で足をついてしまったことでgapを作ってしまった可能性が高いので、その時点でもう一度損傷したと考え、考慮するとヒいう意見でまとまった。

 桑名市民病院 松本先生より22歳男性の左足関節後果骨折(Lauge−Hansen:PER4)・腓骨骨折の症例が呈示された。plate固定がなされたが、遠位脛腓関節の不安定性があったとのことで、脛腓間固定を行った。前脛腓靱帯・関飾包の部分損傷に対して縫縮を行った。ROM訓練をいつから開始するべきか・そのときの注意事項について検討がなされた。時期については特にcastingをするか、castingしないで訓練を行うかで意見が分かれているとのことで問題提示された。脛腓関節を固定しているため、厳密に書えばDFはその固定部分に対してストレスが加わることとなるため、どこまで行っても良いのかと書うことが不明であった。検討の結果、初期のedemaを除去したり、FHL等の訓練をするにはcastingが無い方が行いやすいが、2w程度の固定は逆にedemaの防止にもなり、十分なmusc1eのamplitudeを維持するように筋収縮を出しておくことで十分に効果は上げられるとの意見が多かった。脛腓間固定に対するストレスについては、文献的にも、不明であり、結論は出なかった。少なくとも荷重時点では抜釘してから行うが、背屈がそこまでストレスとして強いのかどうかは不明であった。通常はこの場合2w固定というのは早い方で、4〜6週固定する施設もある可能性があるため、その意味ではこの時期からこういったことでDrと討論できるのは有意義なことである。今回は2人のDrの参加があったため、Dr sideの惹見が聞けたことも有意義であった。この症例については、今後の結果を報告していただきたい。(文責:国立名古屋病院 岸田)