第74回整形外科リハビリテーション研究会報告
於:1998.7.25 国立名古屋病院

 今回の症例検討は、左足関節後果骨折、左腓骨骨折(Lauge Hansen分類PERW型)の症例を平成医療専門学院3年辻 修嗣君から呈示してもらいました。この症例は第72回研究会で桑名市民病院の松本先生から報告されており、自転車走行中に転倒し受傷、上記診断にてplate固定され、さらに遠位脛腓関節に不安定が確認されたため、螺子のひとつをscrewに変更し脛腓間の固定を追加された症例です。検討課題は、Dr側からのcastなしで理学療法を開始していいのではという問いに対して、castの必要性、可動域訓練の開始時期、可動域の範囲、注意事項が中心でした。早期より動かすメリットとしては二次的に生じる癒着を防止し可動域を維持できることがありますが、デメリットとして固定性、脛腓間へのストレスと、より高いリスク管理、情報、知識が必要になること、また浮腫の管理が非常に難しくなること、があげられます。検討では徹底した浮腫対策ができ、脛腓間へのストレスを考え背屈は慎重に行う中でFHL、FDLなどの収縮を促していければ必ずしもcastが必要でなく、逆にその管理、治療が困難であれば、castを2週程行うことで浮腫を抑え、その中でできる治療に専念しても時期的にはいいという考えが出されました。実際に今回の症例では、ope後翌日より理学療法を開始し、castは2週行う(DF0゜)ことが選択されました。経過は、cast除去時でDF10、PF35、ope後5週でDF35、PF45と弾性包帯とpadで圧迫し自動運動を午前午後40分行う徹底した浮腫管理と選択的な筋収縮を中心によい可動域が得られ、6週で全可動域獲得し脛腓間のscrewを抜釘後PWB開始、8週でFWB、12週間で重いものを持たないこと、正座、しゃがみ込み、ランニング禁止などの条件付きで退院となっています。非常によい成績が得られた中には、早期から時期に応じた適切な浮腫対策、選択的な筋収縮がありますが、その理論的な裏ずけとして受傷機転の確認による軟部組織損傷の推測、ope、Drからの情報を明確にすることで、治療中に脛腓間、脛腓靱帯へのストレスの配慮、縫縮された前脛腓靱帯、関節包、保存とされた三角靱帯への配慮、痛みに対する原因考察が適時なされていたことはとても重要なことと考えます。
 lectreでは炎症過程と拘縮をテーマに基礎を国立名古屋病院の荒川先生に、その応用を臨床の面から平成医療専門学院の林先生にお願いしました。基礎では損傷した組織には生体の反応として必ず起きる炎症過程を整理し、2週までは、浮腫に対し圧迫、icing、高挙などを行うことでその肢位で弛緩している組織にできるだけ短縮を防止すること、2週以降はこれに他の組織との癒着を考慮し、隣接する関節包、靱帯、腱を筋収縮、滑走で防止していくという時期による短縮と癒着の考え方を理解できたと思います。また、応用では剖検例の写真を呈示してもらい、筋の起始停止、走行、靱帯関節包との連結などを3次元的に確認することができ、日頃から研究会で治療の考え方となっているところを整理することができたと思います。
(文責:国立名古屋病院 中川)