第75回整形外科リハビリテーション研究会報告
於:1998.9.19 国立名古屋病院

 今回のLectureのテーマは距腿関節であり、前半は筆者が距腿関節の解剖学・機能解剖学を中心とした知識の再確認が行われた。特にtalusとankle mortiseとの関係、それらを制御する靱帯・筋、同調する関節運動の特徴などが説明された。これらの内容は本研究会では再三出てきているものであり、特に臨床上の治療場面では必要な知識であるため、各自再度確認できたと思われる。後半については、平成医療専門学院 林先生よりこれらの機能解剖をより詳細に、実際に解剖写真等を使用し説明がなされた。また、各靱帯・筋についてそれぞれの評価方法や、癒着・短縮の考え方などが説明された。各靱帯・筋を可及的に単独に評価・治療するための考え方が説明された。それらを実際の臨床で役立てるためには、正確な触診が重要となってくる。せっかくの知識も不明瞭な状態で行っていては成績が向上しないため、より正確な触診が重要になってくる。今回は距骨を中心に、deltoid ligを個別に触診し、更にストレッチの方法が説明された。各自実際に触診を行ったが、実際には説明を受けてもなかなか正確に触診できないため、かなりの時間をこの触診の実技にとった。それでもまだ不正確な部分があるような印象を持った。各自臨床の場面で集中して確実に触診できるよう、意識して治療に当たりたい。先ずは丁寧に触診することがかえって治療を短期的にすることにつながると考える。

 市立伊勢総合病院 山本先生より左足関節開放性脱臼骨折(PER W型)・左膝関節内骨折(外側plateau骨折)の症例が呈示された。詳細はレジュメに譲るが、受傷後10日で内果を螺子固定+pinning、外果をzuggurtungs法でopeしシーネ固定。ope後2週でcastingし、その状態で一週後にリハ開始している。cast offがope後4週でその時点でROMはdf−15゜、pf 40゜、knee flex 75゜、ext−25゜であった。その後足趾運動・SLR・reverse−SLR・ボール挟んでのSLR・自動運動・タオルギャザー等を行った。結果、呈示時にはdf 5゜、pf 35゜、knee flex 110゜、ext −10゜、ext lag 25゜となっていた。検討は現在の制限因子と今後の治療方針であったが、X-p上の状態からしても現在は順調に経過しているものと思われるため、現在の治療を十分に行っていくことで一致した。しかし治療内容でボールを挟んでのSLRがあったが、これはストレス的には外反を誘導する危険性のあることが指摘され、今回の症例の場合は慎重に考慮するべきとの意見が出た。また骨折の状態からして、荷重すると脛骨関節面が問題になるかと思われた。しかし骨硬化像・骨棘が見られたため、受傷前から内側型OAと考えられ、荷重線が内側によっていることから、今回の骨折による陥入部が外側であったことからも荷重による影響が少なくなる可能性があるという指摘も出た。現在はまだNWB中であったため不明ではあるが、今後の治療の経過や、荷重による影響等も含めて結果報告を期待したい。  
(文責:国立名古屋病院 岸田)