第85回整形外科リハビリテーション研究会報告
於:1999.9.25 国立名古屋病院

 今回のテーマは肩関節の通過障害ということで、基礎的lectureを平成医療専門学院 橋本先生にお願いし、症例を通してのlectureを碧南市民病院 浅野先生にお願いした。基礎的lectureでは主にimpingement症候群について説明がなされた。subacromial impingement syndromeは所謂第2肩関節での障害であり、疼痛・引っかかり・挟み込み等の症状を呈するものと説明された。これにはNeerの分類にて3期に分けられており、各々に進行度と症状が明記されている。また、第2肩関節の機能解剖についても説明がなされた。構成はC-A arch・subacromial bursa・rotator cuff・大結節・biceps long headであり、C-A ligがsupra supinatusのpulleyの役割をしていることや、bursaの活動機構等が説明された。特にbursaの形態・機能は詳しく説明がなされており再度確認しておきたい事項である。運動学的には大結節の通路(anterior path・postero-lateral path)や位置関係(pre〜post rotational glide)が説明された。基本的な考え方であり、共通語として捉えられているため、記憶しておきたい。impingementを起こす原因として考えられる骨の形態(特に肩峰)、上腕骨頚部骨折時の変位や固定材料、更には各軟部組織の問題について説明が加えられた。これらのlectureを基に、浅野先生から60歳 女性の上腕骨解剖頸骨折・大腿骨骨折の症例が呈示され、X-p・ビデオを見ながら検討を含め説明がなされた。症例の詳細はレジュメに譲るが、制限因子としては大結節が上方へ転位していることからsubacromialの通過障害が主な原因と思われた。通過障害が存在する場合、それ以上過度に運動を押し進めると、大結節部や肩峰に骨変形を来すことがある。当然cuff障害からのrupture可能性もある。可能であれば、今回は上手く見ることが出来なかったが、X-p TVにて実際に通過障害が存在するのかを確認できるとより正確な診断が出来てくる。勿論通過障害があるからと言ってgoalとすることは短絡的である。その原因が骨変形であればgoalであろうが、例えば下方のcapsuleの短縮により骨頭が上方に押し上げられている場合などは、capsuleの治療にて改善が見込めることなどから、より正確な診断がつけられるよう努力していきたいものである。

 平成医療専門学院 林先生より26歳 男性の右肩関節唇障害(SLAP lesion typeU)の症例が呈示された。high levelのamateur野球のピッチャーで、他院にてope、その約1ヶ月後に受診している。詳細はレジュメに譲るが、ビデオにて実際の肩関節運動を確認しながらROM制限について検討がなされた。結果は、外転では60゜を越えるあたりからscapulo-humeral rhythmの破綻が見られ、健側に比べて早く且つ過度に上方回旋が見られた。又挙上時では初期時からrhythmの破綻が見られ、同様に上方回旋が見られた。また2nd positionでの内旋及び3rd positionでの内旋が制限されていた。更にはscapula固定筋が特に下方部にて過剰な筋緊張を呈していた。これらのことより後下方のcapsule及びmuscleに短縮が疑われた。また、過剰筋緊張があることからcuffに筋力低下があると共に、G-H jtにて十分な動きが得られていないためscapula自体を過剰に上方回旋及び内転し、挙上角度を代償しているものと考えられた。実際にそこに絞っての治療をした結果、効果があったとのことであった。今後の治療は前述した原因因子を排除することで改善が見込めると思われるが、初期に戻ってope後早期にリハを行うとするとどの点に注意する必要があるかについても検討がなされた。結果、SLAPということで当然bicepsの緊張がかからないように十分に考慮した上での、stooping exが重要であると思われた。特にsubacromialに大結節を十分に入れると共に、後下方を考慮して水平内転・内旋を忘れずに確実に行っておくことが重要であると思われた。経験上後下方の原因によるROM制限は意外と多いように感じられるため、再度確認して確実な方法で初期時から治療を進めていきたいものである。                     (文責:国立名古屋病院 岸田)