第86回整形外科リハビリテーション研究会報告
於:国立名古屋病院 1999.10.16

 今回より前半に表面解剖実技講習を約1時間程度行い、その後症例検討に即した内容での整形外科的治療についてのlectureを行う。その内容を理解した上で症例について検討するといった新たな形式にて運営することとなった。初回は膝関節の伸展機構について行われた。平成医療専門学院 林先生より解剖所見を使用しての説明があり、その後実際に腱膜板、四頭筋の各々の筋線維方向、patella、patella tendon、retinaculumと言った伸展機構構成要素について各自ペアとなって実技講習を行った。実際にpalpationしてもなかなか正確に行うことは難しく、流されがちな事でもあるため、こういった機会に再確認しておくことは直接臨床場面へ反映されるため、十分に習得していってほしいものである。

 lectureは症例にあわせてTKAについて行われた。手術手技でも特に皮切を中心としたaproachを理解し、軟部組織の侵襲をビデオを見ながら再確認した。更にはTKAの問題点(compornentやHDPのデザイン・材質・軟部組織alignment・PCL切離・術後ROM、metalosis、scratch、wear 等)、実際に本物のTKAを使っての関節運動学の確認が行われた。皮切やaproachについては不明瞭な知識のまま治療をしている場合があるため、再確認する必要性がうたわれた。実際のROM制限はほぼ100%が軟部組織であるため、いかに早期より正確な軟部組織を狙った治療が必要かが説明された。また、特に重要なこことして、獲得ROMとcompornentのinstabilityには相関関係はないこと、術後ROM決定因子が文献上術前ROMにて規定されると言った内容が散見されているが、本研究会としては術前ROMよりもむしろ術中ROM(軟部組織縫合処置後・皮膚縫合直後)に規定されると考えていることが強調された。理論的には術中ROMがfull rangeであれば制限因子が存在しないため術後成績もそれに準ずると考えられる。正座と言う行為自体の賛否は別としてそこまでのROM獲得についてはDrとの協力で可能とのことであった。機種にもよるが、PTとしては術中ROMを最終目的とした治療を行っていきたいものである。

犬山中央病院 小谷先生よりOAにてTKA施行した67歳女性が呈示された。payerの皮切にてNexGenが使用されていた。術中角度は90度プラスαということで詳細は不明であった。現在ope後11週にてROMが0-10°-120°であった。屈曲時は膝関節前内側、伸展時は膝窩部に痛みを訴えている。また、足関節背屈時は屈曲角度が悪くなるといった現象がみられた。それらについて検討した結果、屈曲時の内側の痛みについてはvastus medialisとmedial retinaculumの柔軟性に低下によるものと考えられた。それらの活動性を中心に上げていくことで改善が期待できると思われた。膝窩部痛についてはpopliteusやhamstringsの柔軟性の低下があげられたが、それ以外に下腿のsaggingが起こっている可能性が高く、そのまま伸展してしまうと後方にてimpingementが発生する可能性がある。そのために下腿proximalを凹の法則に従い前方に誘導しながらの伸展運動が確認された。また、足関節背屈時にROMが増悪することについては、gastorocnemiusとpes anserinusが筋膜連結しており、gastoroの伸張がpesに対して伸張刺激を加えている可能性があり、更にpesは閉鎖神経支配であり、膝関節の前方の神経支配としてanterior knee painを訴える可能性があることが示唆された。文献的にもanterior knee painに対してpesへの局注にて痛みの消失がみられることが報告されているとのことで、非常に興味のある内容であった。角度的にはさほど問題のない角度まできてはいるため、今後TKAを治療していくためにも先ずDrのopeでの手技等を各施設にて確認しておく必要がある。それをbaseに有効な治療が進められるようにしていきたいものである。       (文責:国立名古屋病院 岸田)