第90回整形外科リハビリテーション研究会報告
於:2000.2.19 国立名古屋病院

 今回は手関節(橈骨遠位端骨折)をテーマに行った。palpationでは碧南市民病院 浅野先生の指導の下、手関節の中でも特に手根骨の位置関係と各々の連結を触診した。特にRadio-Carpal jointが重要になってくるため、それらを確実に触診できるように各自実習した。意外と橈骨のedgeが不明瞭で、思ったよりも違った位置関係であった人もいたようです。思っていたイメージと違うことはよくある。特に近位手根列と橈骨は治療をしていく上で非常に重要なポイントであるため、この機会に再度確認しておきたい。更には特にscaphoidとlunateとの関係を機能解剖学的に確認し、より詳細な骨運動学を再確認しておきたい。
 整形外科的内容としては、藤田保健衛生大学病院 OT 中図先生より橈骨遠位端骨折に対する治療法について説明がなされた。先ずはX-pにおいて整復位(dorsal tilt・radial deviation・radial shortning)の確認の仕方が説明された。特に予後に大きく関与するため、確実にしておきたいものである。骨折の分類については、Frykman分類・Melone分類・粉砕colles骨折が紹介された。分類についての詳細は資料に譲るが、分類の存在を理解し、確認できるようにはしておきたい。治療法については、保存療法・IFP(intra-focal pinning:Kapandji法)・骨切り術・創外固定が紹介された。各々の特徴は資料に譲るが、少なくとも藤田保健衛生大学病院では保存療法はprimaryではなく、極力解剖学的整復位を獲得しにいくとのことであった。一般的な病院ではまだ保存療法が多いように思われる。特に創外固定ではcastingと違い、固定性は強固となるが、edemaに対する抑制効果はなく、術後管理が非常に重要となってくる。edemaはcontractureを誘発する大きな因子であるため、注意が必要である。また、神経・血管の過剰伸張などの合併もあることを留意する必要がある。また、collesではRSDの合併が見られることも重要な要素であり、それらを含めた術後早期からの管理が重要なポイントとなる。いずれの方法であっても、時期に合わせた管理及び理学療法が重要となる。palpationとも合わせて正しい評価と共に治療を行えるように努力していきたいものである。

 藤田保健衛生大学病院 OT 山田先生より77歳女性 左橈骨遠位端骨折(Frykman 4型・Melone 2型)の症例が呈示された。受傷後K-wireにてkapandji法(lecture資料参照)施行され、抜釘後(受傷後約3週)にてリハ開始となっている。詳細はレジュメに譲るが、ROM制限が存在するため、その制限因子と共に治療法についてディスカッションされた。問題としては、ビデオで患者の手指等を観察すると、回外にて手指の屈曲現象が見られることや、手指の屈曲でintrinsicが上手く活動していないこと、edemaが少ない割には循環が悪い等の指摘があった。X-p上からは、中間位側面像にてscaphoidの直立化(RSA45゜over)が挙げられた。これらのことより、掌側のligamentの癒着・短縮や、extrinsic muscleの短縮、intrinsicの短縮が考えられた。筋に対しては、充分な活動と共にstrechが必要であり、ligに対しては、mobilizationが必要と思われた。特にligに対するmobilizationは、しっかりとしたpalpationが必要となる。具体的には、手背より橈側・尺側各々から近位手根列を示指を中心に包み込み、両側母指をリスター結節に当てる。その母指を支点として牽引・回転させるように掌側のligをstrechしていく方法がデモされた。また、wrist rounderやcrank bar等の訓練器具の説明がなされた。より早期より筋活動を上手く行わせ、特にintrinsicの活動性を確認しながら、近位手根列を正確にpalpationし、radio-carpalでの動きを充分に確保していくことが重要である。その評価の一つとしてX-pのチェックをdorsal tilt・radial tiltのみでなく、RSAも確認して関節の状態を把握することが必要である。橈骨遠位端骨折はPTでも多く経験するところであるため、再度確認しておきたい。(国立名古屋病院 岸田)