第96回整形外科リハビリテーション研究会報告
於:2000.9.16 国立名古屋病院

テーマ『肩関節』
※LECTURE
 @clinical palpation:肩関節前方組織  平成医療専門学院 林 典雄 先生
 Aorthopedics:肩関節鏡について  藤田保健衛生大学病院 中図 健・竹岡 千里 先生
※症例
肩関節内障(スポーツ選手):藤田保健衛生大学病院  中図 健・竹岡 千里 先生

 palpationについては肩関節前方組織を中心に行った。大小結節・結節間溝・biceps long headの位置関係を先ずは確実に触診する必要がある。その上でcoracoidをlandmarkにしてrotator interbalの位置関係を把握する。さらにそこでC-H ligの存在を確認する。また、それを中心にsupraspinatusについて上腕の位置を変化させて前後の組織を分けていく。subscaplarisについては、上腕を最大外旋位にすることでpectralis majorを抑制して収縮を見ていく。これも上下の線維に分けてみていく必要がある。それ以外にcapsule・Gleno-Humeral ligの存在についてもイメージしていく。関節の動きを十分に考えて各組織の走行の変化を考慮しながら行うことが必要である。

 関節鏡については経験ある参加者が殆どいなかったこともあり、新鮮に感じられた。関節鏡視のビデオを見ながら基本的なことから理解することが出来た。しかし、関節鏡画像は非常にmicroな世界であり、なかなか実際のイメージに合わないことがある。局所を拡大視しているため、部位の判断がなかなか困難であり、十分な知識と経験が必要になってくる。microであるため、同時にmacroな画像と対比していく作業が必要になってくる。関節鏡自体はDrが診断や最小侵襲による手術に使用しており、PTに直接関係してくるわけではないが、関節内の組織を解剖などのin vitroな状態での観察ではなく、生体内の現象としてin vivoの状態で把握できるといった利点がある。これは、PTとしては治療の限界やgoaの設定、更には効果判定の科学性の向上に大きく活用できる可能性がある。関節鏡の今後の有効的な活用のための基礎としても、画像の解剖学的理解は必要と考えられた。

 症例は肩関節内障と診断されたゴルフ研修生の27歳女性が呈示された。詳細はレジュメに譲るがビデオが呈示されたため、それを活用しながら動作分析、肩関節機能評価を行った。C.Cはboal impactの時の疼痛であった。Dr sideではSuperior&Middle Gleno-Humeral Ligのdetach及びSLAP leasion、Rotator Intarbalの拡大と診断され、Opeが予定されているとのことであった。検討の結果、ビデオからはdeltoidのatrophy、Scapulo-Humeral rythmの破綻が確認された。その分析から後方及び下方組織の短縮が考えられた。疼痛の訴えは前方にあったが、拘縮の原因としては後方が考えられたため、後方組織の短縮に呼応した代償として骨頭の過剰な前方移動による前方組織由来の疼痛が発生している可能性が示唆された。スポーツ選手の場合、各種目に応じた特殊な動きが関節に加わることは言うまでもなく、各々の動きに対応した関節の動きが獲得されていないと、疼痛誘発の原因となる。今回もビデオにて動作分析を行ったが、各自的確な分析が出来るようにしていきたいものである。                    (文責:国立名古屋病院 岸田 敏嗣)