第97回整形外科リハビリテーション研究会報告
於:2000.10.21 国立名古屋膚院

テーマ『肘関節』
※LECTURE
@clinical palpation:「肘関節周辺靱帯」 平成医療専門学院 林 典雄 先生
Aorthopedics:「Zug法・骨随炎について」 碧南市民病院 加藤 康吉 先生
※症例
「尺骨粉砕骨折・橈骨頭脱臼・術後骨髄炎」 吉田整形外科病院 赤羽根 良和 先生

 palpationでは、肘周辺靱帯として、MCL、capsu1eが中心で行われた。MCLについては前斜走線維、後斜走線維、横走線維に分けられる。その中でも前・後斜走線維がROMに大きく関与する。特に後斜走線維は肘屈曲とともに緊張が増していく特徴を持ち、屈曲制限の大きな因子の一つであるため、確実に触診しておきたい。直上に尺骨神経が走行しているため、注意が必要である。Capsuleも後方が屈曲制限に関与するが、解剖所見では120度程屈曲していくと緊張してくることから、それ以上の角度制限には少なくとも関与するものと考えられる。内側上顆とolecranon、fossaを基準として、capsule、MCLのpalpationが正確に出来るようにしていきたい。

 Zug法については過去の研究会でも数回繰り返し行われてきているため、理解できたものと思われる。原理は資料に譲るが、理解しておくことで早期理学療法こおけるリスク管理も可能となる。ROM訓練にてピンが抜けてくることがある。骨折部の動きが誘発されることでピントラブルが発生するため、Zug法の原理を理解し、トラブルの発生を極力無くす事が重要である。骨髄炎については、漠然とした知識のみであったため、今回のようにまとまった内容を改めて聞くことで知繊の確認が出来た。直接PTが関与する部分は少ないが、安静の考え方や超早期の術後患者に接するときの注意点として留意しておくべき内容であると思われる。感染後はミゼラブルな緒果となることがあるため、十分な注意が必要である。感染の場合は、損傷組織の修復がなされないため、遷延骨癒合不全や癒合不全といった状態が発生し、内固定剤の抜去が行われる。更には腎臓・肝蔵機能不全、脱水から二次的合併症を併発し、生命に関わることもあり得る。特に開放性骨折の患者には注意する必要がある。PTも治療中の皮膚の状悠、疼痛等に細心の注意を払って観察する姿勢を持ちたいものである。

 症例は30歳男性で、転落し受傷している。詳細はレジュメに譲るが、opeはZug法で骨幹部にも骨折部があったため長いK−wireを刺入して、tension bandの土台と共に髄内釘としても使用されていた。その後感染にて骨髄炎となり、その時点で転院しており、更にリハについては感染が落ち着いてから開始されているため、受傷後7ヶ月経過していた。筋力的にはさほど問題はなかったが、ROMは肘屈曲:85度、伸展:−40度、supination:−5度であった。約6週間治療を行った結果、屈曲:95度、伸展:−35度、であった。X−p上からは橈骨頭のalignmentが少し破綻していた。原因として考えられたのが、屈曲制限についてはMCLのPOLおよび後方capsu1e、伸展については筋の短縮もあろうが、関節内骨折であることから、granulationの関節内への滲出が考えられた。現状では期間的に見ても困難な部分が大きいが、それらの因子に対する可及的な治療を行っていくしかないと思われた。徒手的な操作を加えた後に持続伸張を行っていく。これらは現在までも行われていた治療であるため、今後もこれを持続しながら、goa1を決めていくことが必要になってくる。PTとしての限界もあるため、Drとのcommunicationを密に取りながら、今後の方向性を確認していくことも重要であると思われた。
(文責:国立名古屋病院 岸田)