第98回整形外科リハビリテーション研究会報告
於:2000,11.18 国立名吉屋病院

テーマ『肘関節』
※LECTURE
@clinical palpation:「前腕筋群・intrinsic」 碧南市民病院 浅野 昭裕 先生
Aorthopedics:「腱の基本構造」 藤田保健衛生大学病院 竹岡 千里・中図 健 先生
※症例「前腕部熱傷」 藤田保健衛生大学病院 竹岡 千里・中図 健 先生
「SLAP診断患者の肩関節鏡:8月呈示症例」藤田保健衛生大学病院 竹岡 千里・中図 健 先生

 palpationは前腕にある屈筋を中心に行った。円回内筋、腕橈骨筋、尺側・橈側手根屈筋、浅指・深指屈筋、方形回内筋、intrinsicを実際に行った。方形回内筋は触診できないとされているが、実際は最終回内時に橈骨遠位volarにて触れられる。深指屈筋も前腕volarの深層というイメージがあるが、実際は尺骨の尺側端にて触れられる。intrinsicも中手骨、深指屈筋腱と起始部を確認して各々を触診していく。手についてはPTの苦手分野となりがちだが、他の関節と同じように触診して進めていくという面では何ら変わりはなく、積極的に治療していきたいものである。

 lectureは腱の基本構造と言うことで、腱の解剖、Zone分類、治癒過程、皮線、伸展機構、屈筋腱損傷後のリハについて説明がなされた。全てが墓本的なことで、再確認が必要な内客であったため、良い機会だったのではないか。解剤についても更に細かな内容も以前浅野先生が学会やlectureでも説明があったので、再度確認して欲しい。手指は特に解剖学をより詳細に知っておくことが重要である。整形外科の中でもリハに対して進んでいる分野であるが故に確実な知識がないと正比例的にリスクが高くなる。また、少しの制限が大きなADL障害こ繋がりやすい。また、他の部位に比べ感覚障害も大きな阻害因子になりうる。より詳細な評価とともに安全にかつ早期からリハが出来るように知識を整理しておきたい。

 症例は42歳男性の前腕遠位1/3尺側の熱傷V度の症例が呈示された。仕事中感電にて受傷。詳細はレジュメに譲るが、尺骨伸経領域にもhypesthesiaあり、スクリーニングテストも陽性とのことであった。筋力もintrinsicが優位に低下している。ROMについては大きな制限はなかったが、VTRで見る限り多少制限がみられた。今後のリハについて検討されたが、先ずは感電ということで、電流が通過した経路にはその伝達組織に対して損傷を起こしている可能性があることが示唆された。皮膚の欠損からして前腕部での神経損傷が考えられるが、回復傾向がみられることのことでこのまま様子を見ていくこととなった。ROMについては大きな制限はないが、やはり手指についてはactiveでどれだけ動くかと言うことに止まらず、passiveにて充分な柔軟性が必要と考えられるため、更なるROM訓練が必要であるとの指摘があった。また、電気治療を尺骨神経に対して行っているが、電気刺激が末梢神経の発芽を抑制するという報告もあり電気刺激に対しては更なる研究を期待したい。熱傷については状態によっては早期から薬浴の中でROMを行うこともある。また、ROMに制限が無くても発症から3〜6ヶ月は確認をしておくことが重要で、time lagで制限が出現することがあるため気を付けたい。今回はOTで行われている評価が出来ているので共通の方法として確認しておきたい。

 9月に呈示された27歳女性のゴルフ研修生の関節鏡所見が呈示された。検討では痛みの原困はSLAPからというよりも拘縮が原因ではないかと思われた。Ope所見では出血はさほど無かったがSLAP所見がみられた。そのため上関節唇を縫合した。VTRで見る限りにおいては、確かに関節唇の剥離は存在してはいたが、variantとも取れなくはない。術後リハは来週からということで詳細は今後の報告を待ちたい。(文責:国立名古屋病院 岸田敏嗣)