第102回整形外科リハビリテーション研究会報告
於:2001.3.17 国立名古屋病院

テーマ『肩関節』
※LECTURE
 @clinical palpation:  平成医療専門学院 林 典雄 先生
 Aorthopedics:上腕骨近位端骨折について 岐阜大学医学部附属病院 田中 和彦 先生
※症例
1.左上腕骨頚部骨折:四日市市社会保険病院 柘植 英明 先生
2.右肩関節脱臼骨折:松阪中央総合病院 熊谷 匡晃 先生

 palpationについてはG-H jointを中心に行った。肩峰、鎖骨、小結節、大結節、烏口突起、烏口肩峰弓を中心に位置を確認しながら触診した。それぞれ重要なランドマークであり、肩関節の治療をする上では欠かすことの出来ない非常に重要かつ基本的な部位であるため各自確実にものにしておきたいものである。それらを十分に確認した上で、scapulaを固定してのstooping exを実際に行った。肩を評価および治療していく上で非常に重要な考え方である。scapulaの動きを排除することで見えてくるものが確実にあるということを理解し、その手技を確実にしておくことは特に超早期理学療法を行う上では欠かせないものであり、正確な評価を行う上でも非常に重要な手技である。ただscapulaを固定すればよいわけではなく、常に臼蓋と骨頭の位置関係に由来する軟部組織のdynamicな位置関係を把握していくことが重要である。これを機会に更に深い考察を伴ったstooping exが出来るように期待したい。

 Lectureの資料は田中先生が作成したが、当日は体調不良にて欠席したため紹介を代役の岸田が行った。内容としては上腕骨頸部骨折の分類が中心となった。分類としては様々な物が紹介されていたが特によく使用されていると思われるNeerの分類について説明がなされた。詳細はレジュメに譲るが、骨片を2parts、3parts、4partsに分けてそれぞれを部位別に分けている。臨床にてよく見かけられるのは2partsである大結節剥離骨折、外科頚骨折であろう。分類の詳細よりも症例の骨折の状態をX-pやCT、MRIなどの画像からより詳細かつ正確に把握することが重要である。各骨片の位置関係などから治療方針を臨機応変に対応させていくことが重要となる。また骨折に伴い腱板損傷や神経損傷、血管損傷に伴う骨頭壊死など合併症の存在も考慮できるようにしたい。整形外科的治療に関しても、高齢者が多いということもあり保存的に行われることが多い。如何に早期から安全かつ有効的な治療が行えるかが鍵となる。骨折部の局所安静と、特にG-H jointを中心とした可動域の維持に対する方法論を各自整理し獲得していきたいものである。

 症例1は74歳男性の左上腕骨頸部骨折(3parts)が呈示された。ender釘施行し、3日目からcodmanを施行した。1W後X-p上enderの脱落が見られたため中止となり、術後3Wにて仮骨形成有り再開となる。最終的には挙上120度、外転80度であった。検討された結果、X-p上ではenderが短いこともあるが、大結節が上方へ変位しているのが見られた。ピンが抜けてきたことについては致し方ないところもあるが、対処としては通常回旋に注意することからも三角巾を除去してのstoopingを行うことが多いが、今回の症例のようなピンが抜けてくる可能性がある場合などは遠位骨片の自重を除去するためにあえて三角巾下で行う工夫も必要になってくる。今回の場合はanterial pathを使い挙上し、そこからlateral pathにて下制する。また回旋制限の状態から組織として前上方および下後方に制限因子が考えられた。G-H jointの制限があることは確かではあるが、変位している大結節による制限も考えられる。今後の治療に期待したい。

 症例2は78歳男性の右肩関節脱臼、腱板断裂の症例が呈示された。詳細はレジュメに譲るが、VTRで確認できたが、ROMについてはおおむね問題ないが、自動ではほとんど挙上できない状態であった。今後も保存で進めるとのことで検討された。状態から察するとdeltoidの萎縮もあり、神経損傷の可能性も示唆されたが、現状では診断されていない。挙上位でも全く保持できない状態であり、腱板断裂のみかは判断できない状態であり、今後更に診断を進める必要性が示唆された。PTとしては電気的刺激等を使い、筋力の改善を期待して治療を進めて行くほかはない。状態としては非常に困難な症例であることは言うまでもない。可及的にROMの改善、維持を行いつつ筋に対して刺激を与えて行くしかない。非常に治療に難渋する症例と思われた。 
                            (文責:国立名古屋病院 岸田 敏嗣)