第103回整形外科リハビリテーション研究会    
テーマ「肘関節」                      於21,4,2001 国立名古屋病院
   ※LECTURE
    @Clinical Palpation:腕尺関節,尺骨神経 吉田整形外科病院 林 典雄 先生
Aorthopedics:肘頭骨折について  吉田整形外科病院 大久保 佳範 先生
※症例
Monteggia骨折:誠広会臨床研修センター 清水 智恵 先生
肘頭骨折:碧南市民病院:加藤 唐吉 先生
肘関節周囲粉砕骨折:碧南市民病院 加藤 唐吉 先生  
右凸側彎症症を伴う椎間板ヘルニア:松本 正友 先生

 腕尺関節のPalpationについては肘関節を90°屈曲し、内側上顆をlandmarkにしておく。肘頭から裂隙を触れる。(内側上顆から関節裂隙を触れにいくと、尺骨神経を圧迫してしまう)腕尺関節の動きは屈伸でみるが、この場合上腕骨を固定し、前腕を操作する。そこから肘頭の動きをとらえ、正常の腕尺関節の動きを触知する。
 尺骨神経のPalpationについては同じく90°屈曲し、肘頭と内側上顆の間に存在する尺骨神経を触れておき、そこから肘関節を屈曲すると神経の滑走が触知できる。分かりにくいときの別法として、手関節を背屈し、肩関節を外転、伸展し、尺骨神経を伸張した状態から肘関節を屈曲するとより伸張されるのでわかりやすいというものであった。
(文責 吉田整形外科病院 竹中 良和)
 Lectureの内容としては肘頭骨折の受傷機転、骨折の分類、それにおけるOpeの適応、Ope法を紹介し、理学療法の留意点について話しが進められた。受傷機転としてはWilkinsの分類があり屈曲損傷、伸展損傷、剪断損傷に分けられるが上腕二頭筋、三頭筋に牽引される屈曲損傷が一般的に多い。骨折の分類としてはWadsworth、Deleeの分類がありおもに小骨片を有する裂離骨折、大骨片を有する単純骨折、粉砕骨折、脱臼骨折のW型に分けられる。転位のない骨折は保存で肘関節90°屈曲位、前腕中間位で3週間ギブス固定を行う。観血の適応としては抗重力に対して肘が伸展できない場合であり、Ope法として一般的にツーク法(tension band wiring)が施行される。これにより肘屈曲時は離解部が支点となり引きつけられるが、0〜20°の伸展時には離解方向にテンションがかかるため注意しなければならない。理学療法として保存固定時には短縮、拘縮、癒着による屈曲、伸展制限などの2次的障害を軽減するため早期からの等尺性収縮を行う事、前腕骨間膜の短縮による回外制限が起こりうるため深指屈筋などの収縮も大切である。観血時にはシーネ固定が施行されるため早期からROM制限なく自動介助運動が行えるが浮腫管理をしっかり行う事、0〜20°の伸展時においては上腕三頭筋の収縮を抑制させることが大切である。神経症状として尺骨神経の短縮により屈曲制限因子となりえるため、肩関節や手関節を操作しての尺骨神経へ牽引刺激も、肘関節の運動制限がある時期では有効であると思われた。                (文責 同院 大久保 佳範)

 症例報告及び検討は4症例であった。最初は誠広会臨床研修センターの清水先生より、橈骨神経麻痺を合併したMonteggia骨折の症例が報告された。ここでは肘関節周囲の骨折は橈骨神経麻痺を合併しやすいが、Spinnerの報告から8Wで神経症状は回復することが多いため、成績を左右する因子は回旋を含めた可動域制限であるといえる。今回は時期に応じた適切なアプローチを行ったため良好な成績が得られたと報告された。
 つづいて碧南市民病院の加藤先生より2症例がほ報告された。1症例目は肘頭骨折をきたし、ツーク法による骨接合術を行うものの、Wireの脱転とともに感染が認められ骨癒合遅延が生じた症例である。通常我々はX-pにより骨癒合が遅延している場合、固定期間を延長したり少ない可動域の範囲で自・多動運動を行いがちである。しかし骨折部にCompressionを加えたり、解剖学的な構造を考慮した上での運動なら、骨折部にストレスを加えず理学療法が行えると考えられた。また本症例では抜釘時に瘢痕の除去と皮下組織を縫合せずLoosな軟部組織のまま理学療法を開始したことも、良好な可動域を獲得した一因と考えられた。
 2症例目は脱臼を伴った肘関節周囲の粉砕骨折である。骨折部及び関節面の適合性、安定性や軟部組織の瘢痕化、癒着などにより保存療法には限界があり受動術も考慮しらがらアプローチしなければならない。受動術を行った場合、ROMは改善されるこの場合、尺骨神経の伸張性、滑走性が障害されることによる神経症状が生じると考えられる。よって早期から神経の走行を考慮して、ここでの障害を作らないことが理学療法で重要と考えられた。
 最後は桑名市民病院の松本先生より右凸側彎症症を伴う椎間板ヘルニアが検討された。本症例はL3/4間ヘルニアはあるものの、SLR、筋力などは良好であり根症状は少ないと考えられた。またhypesthsiaの領域はL5であり、ヘルニアによる障害とも考えにくく、椎間関節及び仙腸関節由来の疼痛も考慮そる必要があると考えられた。今後DTR、ブロックテストなどから理学療法で治療できる範囲、出来ない範囲を確実に分類しアプローチしなければならないと考えられた。
                                  (文責 同院 赤羽根 良和)