第104回整形外科リハビリテーション研究会    
テーマ「手関節」                    於2001,5,19, 愛知県青年会館(伏見)
   ※LECTURE
    @Clinical  Palpation     :碧南市民病院     浅野 昭裕 先生
A手の外科領域の特殊検査      :藤田保健衛生大学  中図 健  先生
※症例検討
@「橈骨遠位端骨折(関節内)術後症例 :藤田保健衛生大学 中図 健 先生  竹岡千里 先生
    A「電撃症経過報告」        :藤田保健衛生大学 中図 健 先生  竹岡千里 先生


 今回のPalpationは、手関節の中でも手根近位列を中心に行った。全体の流れとして、まず8つの手根骨を近位列、遠位列で確認し、更に掌側面、背側面での大きさ、位置関係について資料を参考に確認した。次に橈骨と舟状骨、舟状骨と三角骨の手関節における位置関係と運動について説明がなされた。その後ring theoryと手根骨に着く靱帯、正常とDISI変形、VISI変形について資料にて知識を再確認した。Palpationの実際は、@橈骨茎状・尺骨茎状突起を触診し、それらを結ぶラインを引いた。A手根骨の中でも手掌面より特徴的なポイントとして、舟状骨結節・豆状骨・大菱形骨結節・有鉤骨鈎の4つをランドマークした。B橈骨のリスター結節より下ろした垂線の遠位は舟状骨または月状骨が存在し、掌屈時骨が隆起し背屈時消失する月状骨の特徴により触れた。スナッフボックスでは、橈骨側に舟状骨、母指側に大菱形骨が存在し、橈尺屈にて確認した。また、舟状骨は掌背側よりつまむと大きいこと、その他、豆状骨の遠位に有鉤骨があることも動きの中のポイントとした。この動きより確実に狙って手根骨を触れ、また隣接する手根骨を確実に触れていくことも大切である。C実際に手関節背屈可動域制限の因子と考えられる、橈骨舟状月状靱帯の走行を確認後、舟状骨、月状骨を操作し骨の動きと靱帯のストレッチを行った。骨としては、細かくPTとして関わりの少ない人も多いと思うが、実践にすぐ生かせるため、解剖の知識と触診技術を身につけ修得していただきたい。             (文責 吉田整形外科病院 橋本 貴幸)

Lectureでは、手関節機能評価について、特にROM、POWER、Sensationの紹介がされた。指に関して%TAM、P‐PdistanceといったROM評価があり屈曲拘縮か伸展拘縮かの判別が行える。拘縮が関節内要素であるか関節外要素であるかをみきわめることが大切であるが、関節外要素の腱の癒着についてはdynamic tenodesis effect(動的腱固定効果)により理解できる。このとき腱の癒着か筋の短縮かを評価し、手内筋拘縮テストを行うことで拘縮の原因が追求できる。POWERではGrip評価としてJamar5positionが紹介された。これは深指屈筋力、手外筋力、手内外筋力、.手内筋力、full Grip力の5段階に分けて評価できるといったものであった。このほかPinch力としてTip pinch、pulp pinch、lateral pinch、Three pinchが紹介された。Sensationでは麻痺した部位の知覚度合いの評価としてSWT-testが紹介された。叉、静的知覚として2点識別テストは優位であるが動的な手の機能としては相関がなく運動機能と知覚機能を分けて評価できるということでピックアップテストが紹介された。                               (文責 同院 大久保 佳範)

症例2は47歳女性の両側橈骨遠位端骨折(今回は右側を検討)が提示されたKapandiji法を施行するが、治療者及び患者の自己管理不足から骨折部にストレスが加わり、橈骨遠位端部が橈側・掌側に転位し治療に難渋している症例である。手関節のあらゆる方向で痛みは強く、ROMは制限されていた。浮腫も強く十分な浮腫管理と手関節をまたぐ腱は骨折部のアライメントから損傷されやすく、痛みの発生部位、条件などを明確にする必要性があると示唆された。また、治療を進めていく上で骨折部を確実に固定した状態で、橈骨手根・手根中央関節のモビライゼ−ションを行う必要がある。しかしX−pからSLAは掌側に大きく、掌側の月状骨・舟状骨関節の不安定性が生じていることと、骨のアライメントから今後掌側方向のROMは難しく、背屈方向で幾分改善させていく必要性があると検討された。また可能なら、X−p透視撮影を行い骨折部が偽関節化していないかどうか把握することも重要である。今後の治療に期待したい。            (文責 同院 赤羽根 良和)

 症例経過報告では、電撃症(感電)によるBurn3度の症例であった。以前の報告では、浮腫、尺骨神経損傷、可動域制限などが論点の中心になっていた。これらの問題を考慮した理学療法を行った結果、浮腫の消失、尺骨神経領域の感覚の改善とそれに伴った筋力の回復、また、可動域も問題はなく、良好な成績であった。このような結果に至ることができた大きな理由としては、やはり徹底した浮腫の管理にあったと思われる。神経損傷に関しては、その回復を我々が直接アプローチしていくことは難しく、ある程度その回復を待つしかない。しかし、その間に、徹底的に浮腫を取り、可動域を改善させておいたことが、神経回復時の良好な成績につながったと思われる。いかに早期からの浮腫の管理が重要かを示した症例であった。
   (文責 同院 中宿 伸哉)