第105回整形外科リハビリテーション研究会    
テーマ「膝関節」                於2001,6,16, 名古屋法律経済専門学校(金山)
   ※LECTURE
    @Clinical Palpation(KNEE) :吉田整形外科病院 林 典雄 先生
AFloating knee fracture        
                     :平成医療専門学院 長田 瑞穂 先生
※症例報告
B左膝蓋骨解放骨折            :吉田整形外科病院 赤羽根 良和 先生
※症例検討
CFloating knee fracture :松坂中央総合病院 熊谷匡晃 先生
 (右大腿骨解放骨折・右下腿骨解放性骨折)
    @左環指・小指基節骨々折        :吉田整形外科病院  橋本 貴幸 先生

今回のPalpationは、膝関節で、内側ハムストリングスについて、吉田整形外科病院 林 典雄 先生より講義及び実技が行われた。講義は、半腱様筋と半膜様筋の特徴と付着部について説明がなされた。半腱様筋は、大腿中央から脛骨内側面までは腱となって走行しており、脛骨内側面に付着する。このため触診では、膝関節屈曲と下腿の内旋運動を協調することがこの筋を活動させるポイントとなる。半膜様筋は、半腱様筋の下に存在しそのボリュームは大きい。更に付着部は脛骨の後面であり、後方の関節包に付着していること、内側半月板後角を後方へ移動させる作用を担っている。このため、触診では、下腿を前方へ引き出した状態から後方へ真っ直ぐ引きつけるように操作することがこの筋を収縮させるポイントとなる。これら両筋ともに膝関節軽度屈曲位を開始肢位とした。臨床において、膝関節屈曲時の後方の痛みに対して、評価・治療対象となる筋であり、圧痛部位の確実な触診と正確な収縮を行うことが治療成果に現れてくると思われる。 
                            (文責 吉田整形外科病院 橋本 貴幸)
LectureではFloating knee fractureについて平成医療専門学院の長田先生より説明された。Floating knee fractureとは同側の大腿骨と下腿骨に同時に発生する骨折である。High energyにより他部位骨折を伴い開放骨折、粉砕骨折により骨治癒遷延、偽関節、拘縮などにより運動制限を引き起こしやすい。このためOpeでしっかり固定できているか否かで予後成績が左右される。Opeとしてエンダ−ピン、キュンチャ―などの髄内固定が主体となるが現在ではIMSCによる固定で良好な成績が報告されているが、Fraserの分類でU型(大腿骨骨折、膝関節内骨折)の予後は不良とされる。特にKnee ROM制限により治療が左右される。このためPTとして早期よりKnee伸展機構を考えQuadの収縮、PF関節の操作が重視される。叉、下腿においてはコンパートメント症候群にも注意し、anterior、lateral、posteriorでの圧痛部位、それに伴う神経障害を考え、2次的に足関節の筋力低下、拘縮が起こらないようアプローチしていくことも大切である。
(文責 吉田整形外科病院 大久保 佳範)
 吉田整形病院の赤羽根より21歳女性Pattela粉砕骨折の症例を実技を通して報告された。症例の受傷機転は交通事故により、Dash BoardにPattelaを直撃し、損傷された。症例の所見としては短縮、Pattla周囲の浮腫、腫張、VM、VLの筋萎縮、皮膚の短縮が認められた。治療の手順としては、まず、膝関節の解剖学的構造、軟部組織を考慮してのパットの位置を設定し、その上から弾性包帯を巻いて、選択的な反復収縮を行った。浮腫を除去する事の重要性が示唆された。またPattela周囲の癒着、瘢痕組織を除去するための選択的筋収縮及びStretchを加えることでMuscle、支帯、Ligamentなどの滑走を改善させた。最終的に正座が可能となった症例であった。         
                            (文責 吉田整形外科病院 赤羽根 良和)
 松坂中央病院の熊谷先生よりFrasterの分類T型のFloating Kneeを生じた症例が検討された。大腿骨は逆行性キュンチャー釘(横止め)、脛骨はプレート固定された症例である。術後の計画としては、術後からギプス固定を行い、骨癒合が得られてからROM Exを行う方針である。このため受傷によって生じた軟部組織の癒着、瘢痕化が形成され、ROM制限が生じてくることは容易である。PTとしては膝関節においてはQuad、Hamを主にした筋収縮及びPattelaモビを十分に行わせ、筋の滑走とAmplitudeの維持獲得をしておく必要がある。また、X-P上脛腓間の離開が認められ、骨間膜の損傷などによるコンパートメント症候群はあると考えられた。このため、シリンダーキャスト内での足関節の運動を十分に行わせ、背屈制限をできる限り予防することが重要である。今後の治療成績に期待したい   
                            (文責 吉田整形外科病院 赤羽根 良和)
症例検討は、吉田整形外科病院 橋本 貴幸より、左環指・小指基節骨々折について行われた。症例は、52歳女性で、道路にて転倒・受傷し、Opeは経皮ピンイングの施行。現在は、抜釘後1週間が経過した時期で(受傷後6週目)理学療法として、@浮腫管理、A手指ROM治療、B手外筋・手内筋の筋力維持、強化治療を施行している。検討事項としては、現在の治療でよいか、今後スプリントの作成が必要かどうかであった。 現時点において、手指屈曲可動域を獲得することが先決であり、浮腫管理を徹底すること、passiveの可動域をactiveで引けることが重要である。また、物理療法として中周波などを用い深指屈筋の収縮を誘発し、筋収縮を促すことや、物的手段としてゴムバンドを利用し、DIP・PIP関節の屈曲持続牽引も有効であるとアドバイスされた。手指基節骨折においても、浮腫は手関節より指先において存在し、骨折部以外の関節においても拘縮や機能低下を生じる要素が存在するため、損傷以外の関節においても予想できる問題を予防していくことも重要である。
(文責 吉田整形外科病院 橋本 貴幸)