110回整形外科リハビリテーション研究会報告

2002.01.19 於:名古屋法律経済専門学校

lecture

palpation ;足根管周辺    吉田整形外科病院  林 典雄 先生

orthopedics;アキレス腱断裂  吉田整形外科病院 橋本 貴幸 先生

症例提示 ;アキレス腱断裂  吉田整形外科病院 仲宿 伸哉 先生

      アキレス腱周囲炎 吉田整形外科病院  林 典雄 先生

 palpationでは内果、載距突起、アキレス腱をランドマークに先ずは脛骨動脈を触診し、その前に後脛骨筋、長趾屈筋、後ろでアキレス腱の前に長母趾屈筋を確認した。足関節における背屈制限には大きく関与する組織のため確実に触診できるようにしておきたい。また、走行も確実に確認して効果的なストレッチができるようにそれぞれの関節軸に対する位置関係を考慮した方法論を確実にしておきたい。また、これらの筋は全て多関節筋であることを念頭に置いて治療を進める必要がある。特にストレッチの時には重要である。ストレッチしているつもりでも関節で逃げていることがままあるからである。より有効的な方法論を見つけることと、また臨床においては損傷部位が必ず存在しており、局所安静を確実に守りながらかつ、可及的に有効的な方法論を模索する必要がる。リスク管理が先ずは最優先されなければならないことも明記しておきたい。

 アキレス腱断裂については先ずアキレス腱の機能解剖が説明された。浅層と深層に別れること、腱鞘は無く踵骨との間には滑液胞が存在し、内側を脛骨神経、外側を腓骨が知覚神経として分布していること等。その後アキレス腱断裂の発生機序、症状、診断、治療法、MRI、組織学について説明がなされた。診断については我々が直接行うことはないが、訓練経過の中で再断裂等の確認をすることは必要であるため、確認しておきたい。治療法については大きく保存と観血的療法があるが、それぞれの特徴を理解しておくことは必要である。それぞれに一長一短がある。最終的に可動域の獲得と筋力の回復が達成されることが目的であり、それぞれに合わせた治療法を考えて行うことが重要である。臨床上openで筋力増強訓練を行ってもなかなか筋のtensionがあがらないことを経験する。筋力的にも低下はあるものの、左右差が無くなってきてもtensionが戻らないことを経験した。また肥厚した組織はほぼ1年といった時間的経過とともに改善されていくとのことであった。最後に縫合部の新生腱組織の成熟は適度な緊張と活動性が必要であることが説明された。腱に限らず組織はストレスが全くかからないと成熟しないことは知識として必要ではあるが、あくまでも“適度”であり、その量的な詳細は不確定であることも確かであり、“過剰”とならないことが重要である。

 アキレス腱断裂の症例は2例が報告された。それぞれgyps固定中からリハを開始した症例とgyps除去後から開始した症例であり、最終的な成績は問題が無かったが、最終的な到達点に至るまでの経過がgyps固定中から行った症例の方が短時間であった。最終的にはアキレス腱と周辺組織の癒着を如何に予防するかが重要であり、そういった観点からするとより早期から腱の滑走を出していくほうが最終到達期間が短いことは容易に想像がつく。当然確実な腱の滑走が行われているかを確認しながら行うことは重要であるが、同時にgyps固定中からリハの支持が出されるような環境を日頃から構築しておくことが重要である。

 アキレス腱周囲炎の症例は、既往として足部アーチの破綻があったとのことで、フットプリントでもアーチの崩れが示唆されていた。実際の治療は足底挿板で疼痛は消失していることが提示された状態で、実際にどういった足底挿板の処方をするかを検討した。アキレス腱の痛みの発生が距骨の外反によりストレスがかかり、さらに激しい運動にてストレスが増強して発生したと考えられた。根本に足部のalignment異常があげられるため、方法論としては内側縦アーチを挙上して更に踵骨を直立かさせるためにアーチを後方に伸ばし、前足部に対して中足骨パッドにて開張足を改善させる。臨床上にて実際に評価してその場で治療していくにはある程度経験は必要であるが、その基礎となる知識は絶対的に必要である。難しい内容ではあるががんばっていきたい。

文責:国立療養所鈴鹿病院 岸田 歳嗣