113回整形外科リハビリテーション研究会報告

2002.04.13 於:愛知県青年会館

lecture

palpation ;膝関節伸展機構    吉田整形外科病院  林 典雄 先生

orthopedics;膝蓋骨脱臼・不安定症  岐阜大学病院 田中 和彦 先生

症例提示 ;左膝蓋骨亜脱臼  吉田整形外科病院 鵜飼 建志 先生

      脛骨粗面剥離骨折 碧南市民病院  浅野 昭裕 先生

 palpationでは新人を対象とした膝伸展機構について行われた。quadriceps・patella・patellar lig・retinaculum・patello−femoral lig・tibio−patellar lig等について解剖写真を提示しながら、位置関係等を確認してそれぞれに触診を行った。今までに何度も行ってきた部位ではあるが、個人差も存在しているため、被検者を変えながらそれらの特徴をつかむように進められた。実際の臨床ではpatellaのMobilityが制限されているため、触診しにくくなっていることや、この触診の方法論がそのまま治療にも応用できることを確認した。各自再確認しておきたい。

 lectureは膝蓋脱臼・不安定症について説明がなされた。

1)膝蓋大腿関節の役割と構造
2)膝蓋大腿関節の支持機構
3)膝関節周囲の軟部組織の役割
4)膝蓋骨運動
5)膝蓋大腿関節障害の診断
6)膝蓋骨高位・低位
7)膝蓋骨(亜)脱臼
8)膝蓋骨不安定症
9)おまけ
 基本的な骨関節構造・運動学・機能解剖学の説明と障害像の把握に必要な疾病学へとつながった。X-pの読影方法についても代表的な評価法を取り上げて説明がなされた。障害を把握する上で指標となるため、各自再確認しておきたい。また、脱臼・亜脱臼に対する手術法も説明がなされて、その後のリハをどのように考えて進めていくべきかといったことについても説明がなされた。最近では内側組織の縫縮や外側組織のreleaseといった方法だけでなく、関節鏡視下に滑膜を焼いて組織的な固定性を向上させるといった方法も行われていることが説明された。最後にX-pやMRIの画像を使用して筋出力不全の原因の一つとしての関節内圧に関する説明や、骨梁の変化や骨棘などについて説明がなされた。必要な知識であるため再度各自で確認しておきたい。patellaは様々な役割を果たしていると共に様々なストレス下にあるもので、膝関節として捉えた場合非常に重要な機構を司っている。膝関節可動域を考えていく上で非常に重要なポイントであることを再認識し、様々な角度から詳細な状態の把握ができるようにしておきたい。

 症例は19歳女性のモダンダンス中に亜脱臼を呈し、その後も2回再脱臼している症例が呈示された。本人の希望もあり受症後も練習および大会への参加に支障のない状態での治療が求められた。実際にはスパイラルテープやサポート・コンプレッションテープ等テーピングによる処置、足底板による治療が行われた。今後のダンス継続に伴いどういった治療が適切なのかが検討された。内容としては内側支持を強化する目的で筋トレすることや、実際に施行されていたテーピング等の補助を使用していくことが挙げられたが、今回の場合はいわゆるスポーツで競技を優先したといった経緯があるため致し方ないが、まず根本的に通常であれば初回受症時に局所安静を行い軟部組織の安定化を図ることが重要であったと考えられた。今後も反復性脱臼の可能性があるため、今後の経過次第ではopeも考慮する必要があるのではないかとの意見であった。上述の鏡視下手術であれば、早期に復帰が可能であり、可能性を含めて知識として必要であろう。とは言ってもリハとしても可及的に治療を施行する必要はある。より有効的な筋トレやサポートができるようにしていきたい。

 症例報告になったが、16歳男性の左脛骨粗面剥離骨折の症例が呈示された。opeは螺子 固定でシリンダーキャスト固定であった。受症後5日にopeし、2W弱でリハ開始されていた。約6週でキャストoffしたが、その状態で屈曲20度、リハ後50度で疼痛を訴えていた。リハ2W後にキシロカイン局中にて他動屈曲し剥離音と共に100度まで可能となった。リハ開始後約1ヶ月で左右差10度程度になった。X-pから得られる情報を詳細に説明された。alignmentから得られる軟部組織の損傷状態の把握、ope式から得られる情報と考慮するべきポイントやリスク、疼痛や経過から得られる情報等が症例を通して詳細に説明された。特にX-pからいかに軟部組織の状態や診断名にあがっていない組織の損傷を考慮できるかは特にリハを行う上では非常に重要かつ有効な情報である。損傷した骨組織にのみ目を奪われることなく、広く詳細により多くの情報を得るような目を育みたい。先ずはそういった意識を常に念頭に置いてより多くのX-pをみるように心がけることが重要である。各自で継続して努力していきたい。

文責:国立療養所鈴鹿病院 岸田 敏嗣