114回整形外科リハビリテーション研究会報告

2002.05.18 於:名古屋法律経済専門学校

lecture   肩関節周囲炎   吉田整形外科病院   林 典雄 先生

症例提示 肩関節周囲炎   国立療養所鈴鹿病院  岸田 敏嗣 先生

 岐阜にて行われる予定の肩関節周囲炎に対する理学療法の一部をピックアップして行われた。肩関節周囲炎における拘縮の原因となりうる因子について説明がなされた。中心となったのはrotator interval・C-H ligであった。今までも何度となく登場してくる組織でもあり、再確認が中心となる物であるが、より詳細な内容でもあり再度確認して確かな物にしたい。解剖学的には教科書的にみると烏口突起を挟むように前方に存在しているように見えるが、肩甲骨前額断から見るとどちらかというと前上方から上方にかけて存在していることが解る。イメージとして修正しておきたい。また組織学的には粗な結合組織性の膜であること、受容器が豊富に存在すること、烏口突起部では骨ではなく骨膜に連絡しており容易にストレスを感じやすい、小胸筋の線維の一部が結合していること、肩峰下滑液胞と接しており炎症の波及が発生しやすいこと等が説明された。それらは詳細な評価を行う上でも必要となる知識でもあるため理解しておきたい。また様々な文献が紹介されたが、拘縮の原因がrotator intorvalやC-H ligにあるとする物が紹介され、治療のターゲットとして非常に重要な組織であることが説明された。さらに神経学的な説明がなされた。肩関節はおおよそ前方から上方にかけてが肩甲下神経支配、上方から後方にかけてが肩甲上神経、後方から下方にかけてが腋窩神経支配となっている。それらから必ずしも疼痛を訴えている部位が原因とはならず、様々なストレステスト等を行い詳細に原因因子を追求していく必要性がある。上腕骨外側部に疼痛を訴える症例が多いが、これも神経学的な解釈からすると下方の組織のストレスに起因するものと解釈できる。こういった詳細な知識を再確認して、肩関節の拘縮の治療に十分に活用してもらいたい。

 症例は65歳女性の肩関節周囲炎と診断された拘縮肩が呈示された。状態についてはビデオにて呈示された。詳細については省略するが、100度程度の挙上で、安静時における肩甲骨alignmentも左右差があった。経過から推察するに、腱板損傷後の拘縮と考えられた。注射にて痛みを抑制すると挙上が改善されていた時期があり、その時期に十分な治療が施行されていれば現在のような状態は避けられたのではないかと考察された。評価についてもビデオにて実際施行したものが説明された。状態としては全体の組織が短縮・癒着が考えられたが、特に後方・下方の組織の制限が強く感じられた。今回のような症例では手始めに過緊張の筋をリラックスさせてからその他の組織を治療していくことが常套であり、そのためにも筋の触診は重要になってくる。そのため今回は症例の説明と同時に触診のlectureも行われた。筋としては上腕三頭筋長頭腱を中心に前方に大円筋、後方に小円筋を触診した。腋窩にある三頭筋長頭腱がイメージよりもかなり後方に位置していることなどを確認した。はじめに何も説明せずにその場で触診を行ってもらいその後説明して行うことで、それぞれの知識が正確であるかを確かめた。自信を持ってできたかはそれぞれの参加者に譲るが、説明を受けてから行うだけでは知識の整理にならないこともあるため、各自その都度確実なものにしていけるようにしたい。

文責:国立療養所鈴鹿病院 岸田 敏嗣

文責:国立療養所鈴鹿病院 岸田 敏嗣