115回整形外科リハビリテーション研究会報告

2002.07.27 於:名古屋法律経済専門学校

lecture   手根骨部の触診   吉田整形外科病院   林 典雄 先生
     橈骨
遠位端骨折   藤田保健衛生大学   竹岡 千里・大河内 由紀
                          中図 健・阿部 友和 先生

症例提示 橈骨遠位端骨折   藤田保健衛生大学  中図 健 先生


lectureはまず手根骨を中心とした触診が行われた。橈骨・尺骨関節面、近位手根列に当たる舟状骨・月状骨・三角骨を触診した。リスター結節・第3中手骨をランドマークに行うと比較的理解しやすい。特に舟状骨・月状骨は橈骨手根関節の関節運動には非常に重要な骨であるため、確実な触診ができるようにしておきたい。RSC・RL等の靱帯を狙ったmobilizationについても指導が行われた。関節運動をある程度理解した上で行う必要があるため、機能解剖や手関節運動の理解のためにring theory・column theory等を再度確認しておくことをおすすめする。整形外科治療については橈骨遠位端骨折に対する治療法が説明された。まずは分類についての説明がなされた。Frykman・Meloneの分類が多く使用されることが多いが、あくまでも学術的色彩が強く臨床上の有用性は意見の分かれるところである。治療法としては保存・IFP法・プレート固定・創外固定が挙げられた。最近では保存は極限られた症例にしか行わないといった意見もある。骨折型により適応が分かれる。医師の判断によるが、ある程度の知識は持っておきたい。特に骨折の部位によっては骨片が不安定になることがあり、早期運動療法においては再転位や短縮といった合併を引き起こす危険性があり、それらをそれらを考慮した治療が必要になってくる。その意味においてもある程度の知識は必要と考える。X-pの見方も説明されたが、橈骨を中心とした内容だが、更に手根骨の位置関係についても読む必要が出てくる。特に近位手根列は重なって移るためある程度の慣れが必要であるため、そういった目で何度も読影する習慣をつけておきたいものである。

症例は39歳男性の右橈骨遠位端粉砕骨折・右尺骨骨幹部開放性骨折の症例が呈示された。高所より転落して受症。治療は橈骨はプレート固定+人工骨移植+創外固定、尺骨はk-wireが施行され、その後創外固定除去+k-wire抜去+再プレート固定+自家骨移植が施行されていた。その間リハは行われていた。結果的に現在は骨の短縮転位が認められ、uluna plus variantの状態である。VTRにて状態が報告されたが、関節運動を行っても疼痛の訴えがないことや、動きの改善が見られないことで検討された。状態から難渋する症例であると思われたが、疼痛が発生しないことから考えられることが、関節運動が発生していないことが予測された。基本的には疼痛のレセプターを考えると何かしらの物理的刺激が必要であり、X-pから骨alignmentが大きく破綻していることからその可能性は高いと思われた。骨の変形短縮についてはプレート固定が不十分であったことが基礎にあり、その後の関節に対する負荷が助長してしまったと考えられた。現状から考えると、リハとしては限界があり、整形外科的な処置が必要になるとの見解であった。現在は関節部が動いていないことにより疼痛が発生していないが、現在のalignmentで動きが出てしまうと逆に疼痛を惹起し、ADL上の阻害因子になりかねない。整形外科的には今後ulna plus variantに対してdarrach法(尺骨頭切除)あるいは年齢的にSaive−Kapandji法(尺骨頭は残して遠位骨幹部切除)を予定しているとのことであった。primaryのopeにてどれほどの固定性が得られたのかを何らかの形で確認していくことが重要であり、今後のリハにおける課題でもあると思われる。


文責:国立療養所鈴鹿病院 岸田 敏嗣

文責:国立療養所鈴鹿病院 岸田 敏嗣